北朝鮮の朝鮮逓信会社が逓オ技術合作会社に追加出資、高麗リンクを展開

Tweet

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の移動体通信事業者(MNO)であるKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社：KPTC)は北朝鮮の移動体通信事業者であるCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)に対して追加で出資したことが分かった。

CHEO Technology JV Companyは2022年9月30日に終了した3か月間となる2022年第3四半期に新株発行で増資を行い、Korea Posts and Telecommunications Corporationが約2,000万ユーロ(約28億2,045万円)で新株の全部を取得している。

そのため、CHEO Technology JV Companyに対する出資比率はエジプトのOrascom Investment Holding (OIH)が75%から60%に低下、Korea Posts and Telecommunications Corporationが25%から40%に上昇した。

Orascom Investment Holdingは引き続き過半を保有する筆頭株主で、2022年12月18日時点で当面はCHEO Technology JV Companyの株式を保有する意向である。

CHEO Technology JV Companyは2007年5月にエジプトのOrascom Telecom Holding (OTH)が75%、Korea Posts and Telecommunications Corporationが25%を出資して北朝鮮の首都・平壌市で設立された。

朝鮮民主主義人民共和国 外国人投資法で規定する外国投資企業の外国人投資企業の合作企業であるため、原則として事業運営はKorea Posts and Telecommunications Corporationが担うが、Orascom Telecom Holdingは連結子会社として位置付けていた。

Orascom Telecom Holdingの所有者はOrascom Telecom Holdingの売却を決定したが、CHEO Technology JV Companyなど売却の対象外の事業を承継する目的でOrascom Telecom Media and Technology Holding (OTMT)を新設することになった。

Orascom Telecom Holdingを分割会社、Orascom Telecom Media and Technology Holdingを新設分割設立会社とする新設分割の完了に伴いOrascom Telecom Media and Technology HoldingがCHEO Technology JV Companyに関する権利義務を承継した。

Orascom Telecom Media and Technology HoldingもCHEO Technology JV Companyを連結子会社として位置付けていたが、2015年第3四半期に位置付けを関連会社に変更している。

Orascom Telecom HoldingはGlobal Telecom Holding (GTH)に、Orascom Telecom Media and Technology HoldingはOrascom Investment Holdingに社名を変更したため、Orascom Telecom Media and Technology HoldingとOrascom Investment Holdingは同一法人である。

Korea Posts and Telecommunications Corporationは国営の会社で、北朝鮮の政府機関として存在した逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications：MPT)が完全所有していた。

しかし、北朝鮮では2021年5月に実施した政府機関の再編で逓信省などを廃止しており、逓信省などの機能を集約した政府機関として情報産業省(Ministry of Information and Communications Technology Industry：MICTI)を設置した。

逓信省が保有する権利義務の全部は情報産業省が承継したため、情報産業省がKorea Posts and Telecommunications Corporationを完全所有する。

CHEO Technology JV Companyはkoryolink (高麗リンク)もしくは高麗網として主要都市を中心、Korea Posts and Telecommunications CorporationはKANGSONG NET (強盛網)として地方都市を中心に携帯通信事業を行う。

いずれも無線方式は第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式を導入している。