韓国のKTがKT 5G-SIG準拠の5G通信規格を公開
- 2016年11月10日
- 海外携帯電話
韓国の移動体通信事業者であるKTは第5世代移動通信システム(5G)の試験サービスで利用する通信規格を公開した。
KTは2015年9月に国際的なパートナと共同でKT PyeongChang 5G Special Interest Group (KT 5G-SIG)を構成し、2018年に韓国の平昌で開催される2018平昌冬季オリンピックで披露する5Gの試験サービスに向けて仕様の策定に取り組んだ。
2018平昌冬季オリンピックで披露する5Gの試験サービスは平昌5G試験サービスまたはPyeongChang 5G trial (P5G)と呼んでおり、仕様の策定にはKTのほかSamsung Electronics、Nokia、Ericsson、Qualcomm Technologies、Intelが参加した。
KT 5G SIG準拠の通信規格は5Gで期待される重要な要素技術の性能を検証するためのテストプラットフォームで、KT 5G-SIG準拠の通信規格に基づいて平昌5G試験サービスで用いる5Gネットワークおよび5G端末の開発を進める。
KTはKT 5G-SIG準拠の通信規格に関して、主要な技術や詳細な技術仕様を公開している。
主要な技術は超広帯域ミリ波、ビームフォーミング(BeamForming)、Lean Design、Self-contained構造、Dynamic TDD、4G-5G Interworkingである。
超広帯域ミリ波は連続した超広帯域の確保が比較的容易な6GHz帯以上の高い周波数を利用する技術である。
既存の移動体通信で利用されている周波数と比べて伝搬距離が短く回折損失が大きいが、多数のアンテナ素子を実装する大規模MIMO (Massive MIMO)を適用し、移動体通信に高い周波数を活用することが期待されている。
ビームフォーミングは多数のアンテナ素子を利用して基地局と端末の間でビームを形成し、信号強度を任意の方向に最大化する技術である。
弱電界エリアに在圏する端末のカバレッジを確保し、端末間の干渉を最小限に抑えられる5Gの中核的技術として期待されている。
Lean Designは既存のLTE方式と比べて制御信号を最小限に抑える技術である。
制御信号の伝送を最適化することで無線リソースの高効率化や通信速度の向上および消費電力の削減が期待されている。
Self-contained構造は遅延時間を最小限に抑えるためにダウンリンクとアップリンクのリソースを効率化する技術である。
5Gは自律走行やホログラムなどリアルタイムサービスで活用するために低遅延が求められており、応答速度を1ms以内とすることが期待されている。
Dynamic TDDはリアルタイムでダウンリンクとアップリンクの比率を調整できる技術である。
トラヒック量などを使用環境を考慮して、ダウンリンクとアップリンクの比率をリアルタイムで効率的に調整することが期待されている。
4G-5G Interworkingは第4世代移動通信システム(4G)と5Gのシームレスなハンドオーバー処理を実現する技術である。
信頼性の高いネットワークに接続し、常に通信品質を確保することなどが期待されている。
平昌5G試験サービスは28GHz帯の周波数を利用する計画で、Qualcomm Technologiesが開発したQualcomm Snapdragon X50 5G modemがKT 5G-SIG準拠の通信規格に対応する。
KTのPLMN番号は450-08であるが、平昌5G試験サービスのネットワークは450-08と異なるPLMN番号が与えられることになり、過去にKTがCDMA方式で利用していた450-02となる見通し。
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