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Computex 2019で中華電信が5Gを披露、小米製スマホで実測1Gbps超え



台湾の台北市で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2019 (2019年台北国際電脳展:以下、Computex 2019)に合わせて台湾最大手の移動体通信事業者(MNO)であるChunghwa Telecom (中華電信)が披露した第5世代移動通信システム(5G)を体験したので紹介する。

Chunghwa TelecomはComputex 2019の出展者には名を連ねておらず、そのためか展示会場外の入口付近にブースを設置していた。

通信設備を搬入して実際に5Gネットワークを構築し、Computex 2019の参加者に5Gのデモンストレーションを披露した。

5Gネットワークは標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)で5Gの要求条件を満たすために規定されるNR方式に準拠する。

Chunghwa TelecomはスウェーデンのEricssonと共同で5Gの研究開発や実証実験などを進めており、デモンストレーションで使用した通信設備もEricsson製である。

周波数はFR1の3.5GHz帯およびFR2の28GHz帯を運用しており、NR Bandとしては3.5 GHz帯がn78、28GHz帯がn257となる。

ほかに、LTE方式の通信設備も5Gのデモンストレーションのために持ち込んでおり、LTE方式は1.8GHz帯のみで、LTE BandとしてはB3に該当する。

帯域幅はn78が100MHz幅、n257が400MHz幅、B3が20MHz幅*2である。

NR方式のモードにはNR方式が単独で動作するSA (スタンドアローン)と、NR方式とLTE方式が連携して動作するNSA (ノンスタンドアローン)が規定されており、Chunghwa TelecomはNSAで運用していた。

デモンストレーションで使用する商用製品がNSAのみに対応するためNSAで運用しており、一部の移動体通信事業者を除いてNR方式の導入初期はほとんどがNSAを採用する見通し。



Chunghwa Telecomが搬入した基地局アンテナ (左からB3、n78、n257)

NSAではNR方式とLTE方式が連携して動作するが、これを実現する技術がE-UTRA NR デュアルコネクティビティで、一般的には略してEN-DCと呼ばれることが多い。

3GPPではモードがSAまたはNSA、コアネットワークがEPCまたは5GCなど、それぞれの条件に応じて複数のRANアーキテクチャオプションが規定されているが、NSAの導入初期はほとんどがLTE方式のEPCに収容するOption 3を採用する。

Option 3ではLTE方式を提供する基地局のeNBがMaster Node、NSA向けRANでNR方式を提供する基地局のen-gNBがSecondary Nodeとなり、NR方式の利用にはLTE方式への常時接続が前提で、この常時接続するLTE方式がアンカーバンドと呼ばれる。

Chunghwa TelecomはB3も運用していたが、これはアンカーバンドとして利用するためである。

このアンカーバンドとなりうる3GPP Release 15に準拠したLTE方式をeLTE方式とし、NR方式とeLTE方式の組み合わせで5Gとするという考え方もある。

デモンストレーションで用いられた商用のスマートフォンの開発元や機種は表向きには非公表で、ロゴの部分は隠されていたが、外観的特徴などから中国を拠点とする英領ケイマン諸島のXiaomi Corporation (小米集団)の完全子会社で中国の事業会社であるXiaomi Communications (小米通訊技術)が開発したXiaomi Mi MIX 3 5Gと容易に断定できた。



5Gに接続したXiaomi Mi MIX 3 5Gで通信速度を測定

Chunghwa Telecomのデモンストレーションでは台湾のAskey Computer (亞旭電脳)製のCPE (顧客構内設備)も5Gネットワークに接続しており、Xiaomi Mi MIX 3 5Gのみが独占していたわけではないが、通信速度は安定して下りが1Gbps前後、上りが40Mbps前後を記録していた。

NR方式のカバレッジ内でも状況に応じてアンカーバンドのみで通信する場合もあるが、Chunghwa Telecomが整備したB3は256QAMおよび2×2 MIMOに対応しており、B3のみでは通信速度が下り最大200Mbpsとなるため、実測値で1Gbps超を記録したことから、間違いなくEN-DCが機能してNR方式とLTE方式で同時通信したと分かる。

Chunghwa Telecomが運用していたEN-DCの組み合わせはDC_3_n78である。

B3は世界で最も採用数が多いLTE Bandで、n78はNR方式の導入初期において世界で最も採用数が多いNR Bandであるため、DC_3_n78を導入する移動体通信事業者は増加する見込みで、DC_3_n78に対応するスマートフォンも増えると考えられる。

なお、n257に対応した商用端末は用意しておらず、Chunghwa Telecomのブースでは電波を発射していたのみとなっていた。



EN-DCが機能した状態の5Gのアンテナピクト

Xiaomi Mi MIX 3 5Gでは通信速度の測定しか試せなかったが、通信速度の測定を数回ほど繰り返していると、本体の発熱と電池の減りの速さが少し不安に感じた。

充電時は展示台に設置せずに床に置かれており、電池がすぐになくなるためか、充電のためにXiaomi Mi MIX 3 5Gを展示していない時間帯もあった。

台湾の政府機関である交通部(Ministry of Transportation and Communications:MOTC)は2020年にNR向け周波数の割当を実施する意向を明らかにしている。

世界的にはFR1では3.5GHz帯、FR2では28GHz帯が主流となる見込みで、それに合わせて台湾でも3.5GHz帯と28GHz帯をNR方式に割当する予定であるため、Chunghwa Telecomはデモンストレーションで運用したn78とn257を商用で導入する可能性が高い。

台湾では独立政府機関で電気通信分野の規制を担う国家通訊伝播委員会(National Communications Commission:NCC)が移動体通信事業者へ周波数を割当する周波数オークションを主催しており、交通部の意向を受けて国家通訊伝播委員会がNR方式向け周波数の割当に向けた準備を進めると思われる。

Chunghwa Telecomは2020年に5Gを商用化することを目指している。

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