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iPhone XRもギガビット級LTEに対応、少なくとも日本版は



米国のAppleはスマートフォン「Apple iPhone XS」、「Apple iPhone XS Max」、「Apple iPhone XR」を公開した。

Appleの公式ウェブサイトでApple iPhone XS、Apple iPhone XS Max、Apple iPhone XRの仕様を比較すると、通信性能に関してApple iPhone XSとApple iPhone XS Maxは「ギガビット級LTE」、Apple iPhone XRは「4G LTE-Advanced」と記載されている。

しかし、少なくとも日本版のApple iPhone XRは「ギガビット級LTE」に対応すると考えて差し支えないのではと思い、本稿を執筆してみた。

まず、そもそもギガビット級LTEに定義はないが、一般的に理論値ベースで下りの通信速度が1Gbps以上のLTEを指す。

筆者の勝手な解釈ではなく、米国のQualcommもLTEで下りの通信速度が1Gbps以上を実現できる能力を有する端末をギガビット級LTEに対応した端末として紹介している。

SNS上ではギガビット級LTEを第5世代移動通信システム(5G)と勘違いする投稿も見られたが、あくまでも第4世代移動通信システム(4G)であり、5Gではない。

LTEに対応した端末では対応する端末カテゴリによって通信速度が異なり、端末カテゴリがLTE DL Category 16であれば10ストリームで下り最大1Gbps、LTE DL Category 18であれば12ストリームで下り最大1.2Gbps、LTE DL Category 21であれば14ストリームで下り最大1.4Gbpsとなり、これらの端末カテゴリに対応した端末であればギガビット級LTEに対応すると言える。

なお、LTE DL Category 16およびLTE DL Category 18に対応した端末は2018年9月の時点ですでに商用化されており、LTE DL Category 21に対応した最初の端末は2018年10月に発表される見込み。

Apple iPhone XRの場合、NTT DOCOMOとKDDIが各社のネットワークにおける通信速度の理論値を公表しており、NTT DOCOMOであれば下り最大794Mbps、KDDIであれば下り最大758Mbpsとなる。

下り最大794Mbpsと下り最大758Mbpsはキャリアアグリゲーション(CA)を高度化した5コンポーネント・キャリア・キャリアアグリゲーション(5CC CA)およびすべての搬送波で256QAMを適用して実現する。

いずれも10ストリームであるため、Apple iPhone XRはLTE DL Category 16に対応すると考えられる。

NTT DOCOMOとKDDIの5CC CAではFDD-LTE方式で15MHz幅以下の搬送波やTD-LTE方式を含むため、10ストリームでも下り最大794Mbpsや下り最大758Mbpsとなるが、仮にすべての搬送波がFDD-LTE方式の20MHz幅であれば5CC CAでも下り最大1Gbpsに達する。

したがって、端末の性能としては下り最大1Gbpsの能力を持つため、端末メーカーは保有する帯域幅など通信事業者側の事情を排除してApple iPhone XRも「ギガビット級LTE」と呼んで問題ないと考えている。

なお、Apple iPhone XSとApple iPhone XS Maxも通信速度が公開されており、NTT DOCOMOでは下り最大844Mbps、KDDIでは下り最大818.5Mbpsである。

いずれも12ストリームではなく10ストリームであるため、LTE DL Category 16に対応しており、性能上の通信速度はApple iPhone XRと同じく下り最大1Gbpsとなる。

ちなみに、OSにAndroidを採用した端末では、NTT DOCOMOで下り最大788Mbps、KDDIで下り最大758Mbps、SoftBankで下り最大612MbpsであればLTE DL Category 16、NTT DOCOMOで下り最大988Mbps、KDDIで下り最大958Mbps、SoftBankで下り最大774MbpsであればLTE DL Category 18に対応する。

参考までに、LTE DL Category 16に対応した端末の場合、下記の組み合わせで下り最大1Gbpsを実現できる。

A. 5CC CA (5CC:2×2 MIMO) *1 *2
B. 4CC CA (3CC:2×2 MIMO、1CCで4×4 MIMO) *1 *2 *3
C. 3CC CA (1CC:2×2 MIMO、2CCで4×4 MIMO) *1 *2 *3

*1 全CCがFDD-LTE方式で20MHz幅
*2 全CCで256QAM適用
*3 4×4 MIMOのTransmission Mode (TM)はTM4

同じ下り最大1Gbpsでも4×4 MIMOに対応したApple iPhone XSとApple iPhone XS MaxではA、B、Cすべてで実現可能で、4×4 MIMOに非対応のApple iPhone XRではAのみで実現可能である。

いずれも性能上は下り最大1Gbpsを実現できることに変わりないが、なぜAppleはApple iPhone XSとApple iPhone XS Maxは「ギガビット級LTE」、Apple iPhone XRは「4G LTE-Advanced」と表記に差をつけたのか推測してみる。

1つ目は、Apple iPhone XSとApple iPhone XS Max、Apple iPhone XRの性能差を明確化するための可能性がある。

先述の通り、Apple iPhone XSとApple iPhone XS Maxは4×4 MIMOに対応し、Apple iPhone XRは4×4 MIMOに非対応である。

筆者は世界中の主要な通信事業者がLTEで運用する周波数と帯域幅の情報を把握しているが、1社でFDD-LTE方式の20MHz幅を5搬送波も確保できている通信事業者は2018年9月時点で1社もなく、Aで下り最大1Gbpsを実現できる条件が極めて困難な条件と言える。

一方、BまたはCで下り最大1Gbpsを実現できる通信事業者は把握しており、4×4 MIMOに対応したApple iPhone XSとApple iPhone XS Maxであれば下り最大1Gbpsで提供できる通信事業者は確かに複数社が存在する。

4×4 MIMOの対応状況と下り最大1Gbpsを実現できる条件を考慮して、「ギガビット級LTE」や「4G LTE-Advanced」と表記に差をつけた可能性がある考えられる。

2つ目は、モデルによって端末カテゴリが異なる可能性がある。

過去にApple iPhone XApple iPhone 8Apple iPhone 8 Plusでは日本版が下り最大800MbpsのLTE DL Category 15に対応し、国際版が下り最大600MbpsのLTE DL Category 12に対応となり、モデルによって端末カテゴリが異なることが実際にあった。

本稿のタイトルに「少なくとも日本版は」と表現した背景はこれを考慮したためで、少なくとも日本版のApple iPhone XRはLTE DL Category 16に対応するものの、日本版以外ではいかなる条件でも下り最大1Gbpsを実現できないモデルが存在する可能性がある。

Apple iPhone XRの発売後にはより多くの情報が判明すると思われるため、通信事業者の情報公開や分解など様々なレポートを楽しみにしておきたい。


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