中国・瀋陽で日本統治時代の建築物を利用する携帯電話事業者を回る
- 2018年12月02日
- Report
中国の遼寧省の省都・瀋陽市で日本統治時代の建築物に入る移動体通信事業者(MNO)の業務拠点と営業庁を参観してきたので紹介する。
中国の東北三省、具体的には遼寧省、吉林省、黒竜江省には日本統治時代の建築物が多く残されている。
日本統治時代の建築物などは取り壊されることなく、歴史文化財として保護の対象に指定されている場合も少なくない。
また、歴史文化財として保護の対象に指定されながら、多くの日本統治時代の建築物が今もなお一般業務で使われる。
かつて奉天市と呼ばれた瀋陽市を訪問し、移動体通信事業者が利用する日本統治時代の建築物を参観してきた。
瀋陽市ではChina United Network Communications (中国聯合網絡通信:以下、China Unicom)の遼寧省分公司と太原営業庁が日本統治時代の建築物を利用する。
China Unicomの遼寧省分公司はChina Unicomの遼寧省の事業を統括する支社で、旧奉天郵務管理局の施設に入る。
中国では歴史的な建築物などを文物保護単位として指定しており、旧奉天郵務管理局の施設は遼寧省人民政府より遼寧省第九批省級文物保護単位、瀋陽市人民政府より瀋陽市文物保護単位として指定を受けた。
省級文物保護単位と市県級文物保護単位の両方に指定されたことになる。
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旧奉天郵務管理局の施設に入るChina Unicomの遼寧省分公司
旧奉天郵務管理局の施設は夜間にライトアップを実施している。
中国では夜間に橙色や黄色にライトアップされた建築物をしばしば目にするが、旧奉天郵務管理局の施設も例外ではない。
建築物の輪郭を縁取るようなライトアップとなり、夜の瀋陽市の街並みで映える印象を受けた。
遼寧省分公司から300mほど東には瀋陽市の事業を統括する瀋陽市分公司が位置するが、瀋陽市分公司が入る施設は日本統治時代の建築物ではない。
なお、分公司は日本における支社に相当し、独自の法人格は持たない。
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China Unicomの遼寧省分公司は夜間のライトアップも美しい
China Unicomの太原営業庁は旧奉天自動電話交換局の施設を利用している。
文物保護単位の指定こそ受けていないが、瀋陽市人民政府より瀋陽市不可移動文物として指定を受けた。
保護すべき歴史文化財としては、旧奉天自動電話交換局の施設より旧奉天郵務管理局の施設の方が重要度は高いと考えられる。
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旧奉天自動電話交換局の施設に入るChina Unicomの太原営業庁
一般消費者向け業務を行う営業庁であるため、自由に出入りすることが認められている。
風格のある内装が維持されており、営業庁に入ると内装も楽しめる。
比較的小規模な営業庁のため内部は狭いが、入口の階段は歴史を感じさせるような印象を受けた。
日本統治時代に逓信業務で使用されていた施設は今もなお多くが逓信業務で使われている。
遼寧省では大連市でもChina Unicomが日本統治時代の建築物を営業庁として利用している。
もし遼寧省を訪れる機会があるならば、日本統治時代の建築物の参観を旅程に組み込むと、より旅を楽しむことができるかもしれない。
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