中国・長春で日本統治時代の建築物を使う携帯電話事業者、満州電電の本社など

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中国の吉林省の省都・長春市で日本統治時代の建築物に入る移動体通信事業者(MNO)の業務拠点と営業庁を訪問してきたので紹介する。

中国の東北三省、具体的には遼寧省、吉林省、黒竜江省には日本統治時代の建築物が多く残っている。

日本統治時代の建築物は取り壊されず、歴史文化財として保護の対象となることも少なくない。

また、歴史文化財として保護の対象となりつつ、多くの日本統治時代の建築物が今もなお一般業務で使われている。

かつて新京特別市と呼ばれた長春市を訪問し、移動体通信事業者が利用する日本統治時代の建築物を確認してきた。

長春市ではChina United Network Communications (中国聯合網絡通信：以下、China Unicom)の長春市分公司、南広場営業庁、China Mobile (中国移動)の子会社で吉林省の事業を担うChina Mobile Group Jilin Company (中国移動通信集団吉林：以下、Jilin Mobile)の吉林終端分公司が日本統治時代の建築物に入居する。

China Unicomの長春市分公司は日本国政府や満州国政府が出資した旧満州電信電話株式会社の本社の施設を使っている。

旧満州電信電話株式会社の本社はしばしば観光地として紹介されることもある。

満州国の国都が現在の長春市にあたる新京特別市であり、満州電信電話株式会社の本社も新京特別市に置かれた。

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旧満州電信電話株式会社の本社の施設に入るChina Unicomの長春市分公司

中国では歴史的な建築物などを文物保護単位として指定しており、旧満州電信電話株式会社の本社の施設は長春市人民政府より長春市重点文物保護単位として指定を受けた。

正面入口のそばには旧満州電信電話株式会社と長春市重点文物保護単位の指定を示す碑が設置されている。

なお、日本では一般的に満州国と呼ばれるが、中国は独立国家としての満州国の存在を認めておらず、満州国は中国では一般的に偽満州国と表記される。

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旧満州電信電話株式会社を示す碑

China Unicomの南広場営業庁は満鉄長春電話局の施設に入居する。

旧満州電信電話株式会社の本社と同様に歴史的な風格を感じさせる印象を受けた。

一般消費者向け業務を行う営業庁であり、自由に出入りすることができる。

なお、満鉄は南満州鉄道株式会社の通称である。

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満鉄長春電話局の施設に入るChina Unicomの南広場営業庁

Jilin Mobileの吉林終端分公司は新京中央電報局および新京無線局が拠点を置いた施設を利用する。

日本統治時代の建築物にChina Mobileまたはその傘下企業が入ることは珍しい。

一般消費者向けに端末の販売を行う拠点であり、自由に出入りできる。

なお、新京中央電報局および新京無線局は満州電信電話株式会社の傘下機関である。

新京中央電報局および新京無線局が拠点を置いた施設はほかの日本統治時代の建築物と比べて近代的な印象を受けるが、第二次世界大戦の終戦の数年前に竣工しており、中国に残る日本統治時代の建築物としては新しい部類に入る。

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Jilin Mobileの吉林終端分公司が入る日本統治時代の建築物

日本統治時代に逓信業務で使われた施設は現在も多くが逓信業務で使用されている。

関連記事を参照しても分かるが、長春市に限らず東北三省の各都市でも日本統治時代の建築物を利用する移動体通信事業者としては、利用件数はChina Unicomが圧倒的に多い。

中国では2002年の電気通信分野再編でChina Telecom (中国電信)を南北に分割し、北部の10の直轄市、省、自治区における固定通信事業はChina Network Communications Group (中国網絡通信集団：以下、China Netcom)が継承した。

China Netcomが固定通信事業を継承した省には東北三省が含まれ、東北三省を含む中国北方で存在感を高めた。

2008年の電気通信分野再編ではChina UnicomがCDMA事業をChina Telecomに移管、GSM事業をChina Unicomが継承したほか、China Unicomを存続会社としてChina UnicomとChina Netcomの統合も決まった。

このような背景があり、固定通信事業も踏まえるとChina Unicomは中国北方で存在感が高く、事業展開で比較的優位かつ業務拠点も多い状況で、日本統治時代の建築物を使う件数も多いと思われる。

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