ハノイ市でViettel Telecomの5G基地局を発見、ベトナム最初の5G基地局
- 2019年04月29日
- Report
ベトナムのViettel Group (軍隊工業通信グループ)の従属会計単位で同国の移動体通信事業者(MNO)であるViettel Telecom Corporation – Branch of Viettel Group (以下、Viettel Telecom)が開設した第5世代移動通信システム(5G)の基地局を発見した。
これまでに、Viettel Telecomはベトナムの政府機関で電気通信分野などの規制を担う情報通信省(Ministry of Information and Communications:MIC)より5Gのトライアル用ライセンスを取得している。
Viettel Telecomはトライアル用ライセンスで定められた条件に従って5G基地局を用いた5Gトライアルを実施する。
5Gのトライアル用ライセンスは対象区域がベトナムの首都・ハノイ市およびホーチミン市で、有効期間は2019年1月22日から2020年1月21日である。
第一段階ではハノイ市で3局の5G基地局を設置する計画で、2019年4月5日にハノイ市のホアンキエム区で1局目の5G基地局を開設した。
ホアンキエム区にあるViettel GroupおよびViettel Telecomの施設の屋上に5G基地局が設置されていることを確認できた。
所在地は下記の通り。
Số 53 Lương Văn Can, Phường Hàng Trống, Quận Hoàn Kiếm, Thành phố Hà Nội, Cộng hòa Xã hội chủ nghĩa Việt Nam
施設にはViettel Groupの事務所であるViettel Quan Hoan Kiemが入居するほか、Viettel Telecomの小売店であるCHTT Luong Van Can Hoan Kiem HNIが併設されている。
ホアンキエム区で開設した5G基地局はベトナム国内の商用環境で設置された最初の5G基地局となった。
Viettel Telecomは5Gのトライアル向け周波数としてサブ6GHz帯の2575.0~2615.0 MHzおよび3700.0~3800.0 MHz、ミリ波(mmWave)の26500.0~27500.0 MHzの利用が認められている。
商用の5G基地局は8割程度を自社製とする計画で、残りの2割を北欧の通信機器ベンダより調達する見込み。
ただ、トライアルの段階で設置した最初の5G基地局は自社製ではなく、スウェーデンのEricssonより調達したと思われる。
Viettel TelecomはEricssonと5Gの実証実験を共同で実施した経験があり、5Gの商用化に向けた協力も加速させる見通し。
周波数は26500.0~27500.0 MHzを利用すると推測している。
参考までに、従属会計単位は法人格を持たない支店の扱いで、本社であるViettel Groupの委任によって事業を行う。
本社のViettel Groupはベトナム人民軍を統括するベトナムの国防省(Ministry of National Defence:MOD)が完全所有しており、ベトナム共産党中央軍事委員会(Central Military Commission of the Communist Party of Vietnam)の指導に基づき運営する。
ベトナム政府の政令で国防省が命じた政治的、軍事的、その他の特別な業務を遂行する義務があると規定されている特殊な存在の国営企業で、Viettel Groupやその従属会計単位および子会社の意思決定の背後にはベトナム政府の指示がある。
米国とは安全保障の分野で協力関係を深め、中国とは領土問題などで対立する中で、Viettel Telecomは中国の通信機器ベンダはしばらく採用しておらず、ベトナム政府の意向を反映して通信設備の自社開発を推進していると思われる。
Viettel Telecomは2019年6月にはハノイ市とホーチミン市で合計70局ほどの5G基地局を開設する予定で、さらには複数の周波数を利用してトライアルを実施するなど、5Gの商用化に向けたトライアルの規模を拡大する見込み。
ベトナムは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で最も遅く第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式を商用化した国である。
しかし、Viettel Telecomは東南アジア諸国連合加盟国の中で早期に5Gを導入する方針を示しており、2020年頃に5Gを商用化する計画という。
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