米国のDISHが3.5GHz帯のライセンスで最多、5G基地局は富士通が供給
- 2020年09月06日
- 海外携帯電話
米国の政府機関で電気通信分野などの規制を司る連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)は市民ブロードバンド無線システム(Citizens Broadband Radio Service:CBRS)で使用する周波数である3.5GHz帯の優先アクセスライセンスに関するオークション105の結果を発表した。
対象の優先アクセスライセンスは市民ブロードバンド無線システムで使用する3550~3650MHzのうち70MHz幅である。
米国の主要な移動体通信事業者(MNO)としてはVerizon Wirelessとして事業を行うCellco PartnershipがVerizon Wireless Network Procurementを通じて、T-Mobile USAがT-Mobile Licenseを通じて、AT&T MobilityがAT&T Spectrum Frontiersを通じて、新規参入するDISH NetworkがWetterhorn Wirelessを通じて参加していた。
Verizon Wireless Network Procurementは157の郡で557のライセンスを1,893,791,991米ドル(約2,011億5,669万円)、T-Mobile Licenseは6の郡で8のライセンスを5,583,000米ドル(約5億9,302万円)、Wetterhorn Wirelessは3,128の郡で5,492のライセンスを912,939,410米ドル(約969億4,732万円)で確保し、AT&T Spectrum Frontiersはライセンスの確保を見送った。
連邦通信委員会はライセンス数と金額で上位の5の事業体を取りまとめており、ライセンス数ではWetterhorn Wirelessが1位、地域限定で移動体通信事業など各種通信事業を展開するATN International傘下のSAL Spectrumが2位で1,569、Nextlink Internetとして地域限定で固定通信事業を展開するAMG Technology Investment Groupが3位で1,072、固定通信事業を展開するWindstream Communications傘下のWindstream Servicesが4位で1,014、ケーブルテレビ事業者であるComcast Corporation傘下のXF Wireless Investmentが5位で830となった。
金額ではVerizon Wireless Network Procurementが1位、Wetterhorn Wirelessが2位、ケーブルテレビ事業者であるCharter Communications傘下のSpectrum Wireless Holdingsが3位で464,251,209米ドル(約493億円)、XF Wireless Investmentが4位で458,725,900米ドル(約487億1,325万円)、ケーブルテレビ事業者であるCox Communicationsが5位で212,805,412米ドル(約225億9,823万円)となっている。
ライセンス数は地域限定の通信事業者、金額ではケーブルテレビ事業者が上位に比較的多い傾向であるが、このうちWetterhorn Wirelessはライセンス数で1位、金額で2位といずれも上位に入った。
3.5GHz帯は広い帯域幅を確保できるほか、ミリ波(mmWave)よりカバレッジの確保が容易であるため、高速大容量を実現できる第5世代移動通信システム(5G)の整備に比較的適した周波数とされている。
DISH NetworkはCellco Partnership、T-Mobile USA、AT&T Mobilityに次ぐ全米で4番目の移動体通信事業者として新規参入する計画で、5Gに適した周波数のライセンスを全米で確保する必要があるため、上位に入るほどライセンスを確保することになった。
これまでに、DISH NetworkはNR方式のスタンドアローン(SA)構成に準拠した5Gネットワークの構築する計画を発表している。
すでに通信機器ベンダを選定しており、FUJITSU (富士通)、米国のAltiostar Networks、米国のMavenir Systemsと複数年契約を締結した。
O-RAN Allianceで策定された仕様に準拠した基地局装置の無線子局をFUJITSUから調達し、オープン仮想化無線アクセスネットワーク(Open vRAN)ソフトウェアソリューションをAltiostar NetworksおよびMavenir Systemsより調達する。
なお、Altiostar Networksに対しては傘下に移動体通信事業者として新規参入したRakuten Mobile (楽天モバイル)を擁するRakuten (楽天)が2019年第2四半期に出資し、それ以降はRakutenの持分法適用会社となっている。
RakutenのAltiostar Networksに対する所有持分比率および議決権比率は50%を超えているが、Rakutenおよびそのグループ会社がAltiostar Networksの取締役会を支配しておらず、Rakutenの子会社には該当しないと判断している。
DISH Networkは3.5GHz帯でNR方式を導入する計画で、他用途と周波数共用要件を規定した市民ブロードバンド無線システム向けのNR Bandとしてn48が定義されているため、n48を導入する可能性が高い。
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