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北朝鮮で携帯電話サービス商用化から17周年、朝鮮逓信会社とLoxpacの合弁開始から

  • 2019年11月11日
  • DPRK


朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)で携帯電話サービスの商用化から17周年を迎えた。

北朝鮮では羅先特別市で設立された「North East Asia Telephone and Telecommunications Co., Ltd. (東北アジア電話通訊会社:以下、NEAT&T)」がブランド名をSUNNETとして最初に携帯電話サービスの提供を開始した。

首都・平壌直轄市と羅先特別市で2002年11月11日に商用化しており、それから17周年となった。

タイのLoxley Pacific Company Limited (以下、Loxpac)と北朝鮮の政府機関で電気通信分野の規制を管轄する逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が所有する国営企業のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)が合作企業としてNEAT&Tを設立し、第2世代移動通信システム(2G)のGSM方式で900MHz帯を使用して携帯電話サービスを提供してきた。

NEAT&Tの一般向けの携帯電話サービスは2004年5月24日に終了し、NEAT&Tの通信設備を利用してKPTCがNEAT&Tと協力して政府関係者や駐朝外国人などに対して携帯電話サービスを限定的に継続していたが、2010年12月末に終了したことが分かっている。

NEAT&Tは携帯電話サービスを終了後も羅先特別市ではSIMカードや携帯端末の販売を行う代理店として機能するなど、携帯電話事業には深く関与した。

なお、NEAT&Tに対する出資比率はLoxpacが70%、KPTCが30%であった。

Loxpacは2013年後半に社名をLoxpac (Thailand) Company Limitedに変更し、さらに2018年3月末には事業を停止しており、NEAT&Tに関連する資産はKPTCに譲渡している。

一方、2008年12月15日からは平壌直轄市で設立された「CHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO)」がブランド名をkoryolinkとして一般向けの携帯電話サービスの提供を開始した。

第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式で2.1GHz帯(Band I)を使用し、北朝鮮で最初に3Gを導入した移動体通信事業者(MNO)となった。

koryolinkは朝鮮語で고려링크と表記するが、朝鮮語のブランド名として고려망と表記する高麗網も使われ、高麗網としての認知も進んでいる。

平壌直轄市など主要都市を中心に携帯電話サービスを展開するが、地方都市でも携帯電話サービスの需要が高まり、「KPTC」がブランド名をKANGSONG NETとして独自の携帯電話サービスを立ち上げた。

KANGSONG NETの携帯電話サービスはW-CDMA方式のBand Iを使用しており、2012年より試験的な運用に着手したが、2012年12月末まではCHEOに対して独占権が付されていたため、CHEOの独占権が終了後に商用化して2014年から2015年にかけて規模を拡大した。

KANGSONG NETは朝鮮語のブランド名が強盛網で、강성망と表記される。

koryolinkとKANGSONG NETは競合せずに一部の回線を除いて相互に国内ローミングを受け入れるが、一部の地方都市ではkoryolinkからKANGSONG NETに置き換えており、KANGSONG NETは存在感を高めている。

なお、CHEOはエジプトのOrascom Telecom Holding S.A.E. (以下、OTH)とKPTCが合作企業として設立しており、当初の出資比率はOTHが75%、KPTCが25%であったが、2019年11月11日時点ではエジプトのOrascom Investment Holding S.A.E. (以下、OIH)が75%、KPTCが引き続き25%である。

OTHはオランダのVimpelCom Ltd. (以下、VimpelCom)に買収されることになったが、VimpelComはCHEOを買収対象に含まず、OTHからスピンオフしたエジプトのOrascom Telecom Media and Technology Holding S.A.E. (以下、OTMT)がCHEOを承継した。

2013年9月にはOTHがGlobal Telecom Holding S.A.E. (GTH)、2017年3月にはVimpelComがVEON Ltd.、2018年7月にはOTMTがOIHに社名を変更している。

北朝鮮における合弁事業は2017年9月11日に採択された国際連合安全保障理事会(United Nations Security Council)の決議第2375号(2017年)で原則として禁じられたが、OIHは国際連合安全保障理事会の1718委員会より正式に承認を取得しており、CHEOの事業の継続が可能となっている。



NEAT&Tの本社 (羅先特別市)



逓信省のロゴが入るKANGSONG NETのSIMカード



千里馬をモチーフとするkoryolinkのロゴ

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