ベトナム・ハノイ市でMNO全社のLTE事情を調査
- 2019年04月26日
- Report
ベトナムの首都・ハノイ市を訪問してベトナムの移動体通信事業者(MNO)がLTEサービスで利用する周波数を調査した。
ベトナムの移動体通信事業者はViettel Telecom Corporation – Branch of Viettel Group (以下、Viettel Telecom)、VNPT VinaPhone Corporation (以下、VinaPhone)、MobiFone Corporation (以下、MobiFone)、Vietnamobile Telecommunications Joint Stock Company (以下、Vietnamobile)、Global Telecommunications Corporation (以下、GTEL)の5社である。
まず、ベトナムの移動体通信事業者が運用する通信方式と周波数はViettel TelecomがLTE (FDD)方式の2.1GHz帯(Band 1)と1.8GHz帯(Band 3)、W-CDMA方式の2.1GHz帯(Band I)、GSM方式の1.8GHz帯と900MHz帯、VinaPhoneがLTE (FDD)方式のBand 3、W-CDMA方式のBand Iと900MHz帯(Band VIII)、GSM方式の1.8GHz帯と900MHz帯、MobiFoneがLTE (FDD)方式のBand 3、W-CDMA方式のBand IとBand VIII、GSM方式の1.8GHz帯と900MHz帯、VietnamobileがLTE (FDD)方式の2.1GHz帯と900MHz帯(Band 8)、W-CDMA方式のBand IとBand VIII、GSM方式の900MHz帯、GTELがGSM方式の1.8GHz帯である。
すべての移動体通信事業者がLTE方式を導入できる第4世代移動通信システム(4G)のライセンスを保有するが、GTELはLTEサービスの提供を開始していないため、この時点でGTELは調査の対象外となる。
ベトナムの複数の移動体通信事業者は特定の周波数をGSM方式またはW-CDMA方式からLTE方式へ一部の地域より順次転用するなど、LTE方式で利用する周波数はベトナム全土で一致するわけではない。
そこで、ハノイ市におけるLTEサービスで利用するLTE Band、帯域幅、中心周波数から周波数範囲を特定した。
移動体通信事業者各社のLTE Band、帯域幅、周波数範囲は下記の通り。
■Viettel Telecom
Band 3, 15MHz幅*2
UL 1752.5~1767.5 MHz, DL 1847.5~1862.5 MHz
■VinaPhone
Band 3, 15MHz幅*2
UL 1710.0~1725.0 MHz, DL 1805.0~1820.0 MHz
■MobiFone
Band 3, 15MHz幅*2または20MHz幅*2
UL 1732.5~1747.5 MHz, DL 1827.5~1842.5 MHz (15MHz幅*2)
UL 1730.0~1750.0 MHz, DL 1825.0~1845.0 MHz (20MHz幅*2)
■Vietnamobile
Band 8, 3MHz幅*2
UL 881.5~884.5 MHz, DL 926.5~929.5 MHz
ベトナムではいずれも移動体通信事業者も屋内局の整備は遅れており、屋内に入るとW-CDMA方式に切り替わることが少なくなかった。
全体的にビッグスリーのViettel Telecom、VinaPhone、MobiFoneであればエリアも速度も大きな不満はなく使えた。
日本の移動体通信事業者と比べると不満を感じる場合もあると思われるが、その点は設備投資額がまったく違うため仕方ない。
MobiFoneはハノイ市内でも15MHz幅*2のエリアと20MHz幅*2のエリアがあり、いずれも中心周波数は同じであった。
Vietnamobileはハノイ市で唯一のサブ1GHz帯でLTEサービスを導入しているが、その利点をまったく生かせていない。
屋内ではビッグスリーよりも酷い状況で、すぐにLTEサービスを利用できなくなった。
また、屋内ではW-CDMA方式やGSM方式に切り替わるどころか、圏外となることもしばしば遭遇した。
帯域幅が3MHz幅*2で理論値も遅いため、実測値もビッグスリーより遅く快適に使えなかった。
なお、端末側が対応するLTE Bandに問題がないことを前提として、Android 9 (Pie)を採用したスマートフォンではViettel Telecom、VinaPhone、MobiFone、VietnamobileともにLTEサービスを利用できた。
iOS 12.2を採用したスマートフォンではビッグスリーのLTEサービスこそ問題なく使えるが、VietnamobileではLTEサービスを利用できないため注意したい。
ハノイ市で利用するならば、端末に関係なくビッグスリーを選んでおけば問題ない。
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