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ベトナム・ハノイ市で軍系Viettel TelecomのSIMカードを購入、ベトナム最大手



ベトナムの首都・ハノイ市を訪問して同国の移動体通信事業者(MNO)であるViettel Telecom Corporation – Branch of Viettel Group (以下、Viettel Telecom)のSIMカードを購入したので紹介する。

ベトナムではポストペイド契約とプリペイド契約ともにSIMカードの利用にあたり実名登録を義務化し、ベトナムの政府機関で電気通信分野の規制を司る情報通信省(Ministry of Information and Communications:MIC)は2018年4月24日までにIDカードの情報と顔写真を登録するよう要求していた。

そのため、ベトナムでプリペイドSIMカードを購入する場合はIDカードの提示と顔写真の撮影が必須となる。

なお、ベトナム国籍でない場合は有効な旅券をIDカードの代わりに使えるため、日本国籍であれば日本国旅券で問題ない。

ハノイ市のノイバイ国際空港(HAN)でもSIMカードを販売しているが、ノイバイ国際空港では実名登録は不要と称して、実名登録を未実施もしくは他人名義で実名登録を実施したSIMカードを販売する業者が非常に多い。

正しく実名登録を実施していないSIMカードの利用は不正利用であるため、十分に注意したい。

多少は面倒でも法令を遵守して安全にSIMカードを利用するため、筆者はハノイ市内の直営店でSIMカードを購入した。

■Viettel Telecomの概要

まずは、Viettel Telecomの概要を紹介する。

Viettel TelecomはViettel Group (軍隊工業通信グループ)の従属会計単位で、従属会計単位は法人格を持たず、本社であるViettel Groupの委任によって事業を行う。

本社のViettel Groupはベトナム人民軍を統括するベトナムの国防省(Ministry of National Defence:MOD)が完全所有し、ベトナム共産党中央軍事委員会(Central Military Commission of the Communist Party of Vietnam)の指導に基づき運営する特殊な国営企業である。

ベトナム政府の政令では国防省が命じた政治的、軍事的、その他の特別な業務を遂行する義務があると定められており、Viettel Groupとその従属会計単位や子会社の意思決定の背後にはベトナム政府の指示が存在する。

Viettel Telecomはベトナムで最大手の移動体通信事業者で、2019年初めの時点で加入件数の占有率は50.6%となり、過半数を占めるほどの圧倒的な強さである。



Viettel TelecomのSIMカードを購入した直営店

■通信方式と周波数

通信方式および周波数はLTE (FDD)方式の2.1GHz帯(Band 1)と1.8GHz帯(Band 3)、W-CDMA方式の2.1GHz帯(Band I)、GSM方式の1.8GHz帯と900MHz帯を利用する。

ただ、LTE (FDD)方式のBand 1は利用が限定的で、さらにGSM方式の1.8GHz帯はLTE (FDD)方式のBand 3に順次完全転用するため、GSM方式の1.8GHz帯は近く利用不可となる可能性がある。

地域によって周波数の利用状況が異なり、ハノイ市ではLTE (FDD)方式のBand 3、W-CDMA方式のBand I、GSM方式の1.8GHz帯と900MHz帯を確認した。

■プリペイドSIMカードのプラン

Viettel Telecomは外国人旅行者向けにパッケージを用意しており、そのパッケージが提示された。

パッケージは価格が200,000ベトナムドン(約960円)、250,000ベトナムドン(約1,200円)、300,000ベトナムドン(約1,440円)、350,000ベトナムドン(約1,690円)、400,000ベトナムドン(約1,930円)の5種類で、いずれも有効期間は30日間である。

各プランの内容は価格、データ通信容量、国内通話、国際通話の順に下記の通り。

200,000ベトナムドン:8GB、12分、6分
250,000ベトナムドン:15GB、音声通話なし
300,000ベトナムドン:15GB、25分、12分
350,000ベトナムドン:無制限、音声通話なし
400,000ベトナムドン:無制限、25分、12分

新規でSIMカードを購入する場合、SIMカード新規発行料として50,000ベトナムドン(約240円)が発生するため、50,000ベトナムドンとパッケージの価格の合計を支払う。

筆者は200,000ベトナムドンのパッケージを選択したため、支払額は250,000ベトナムドンとなった。



Viettel TelecomのSIMカード

■eSIM変更は有料

Viettel Telecomは業界団体のGSM Association (GSMA)の標準規格であるリモートSIMプロビジョニング(RSP)に準拠したeSIMを提供している。

プリペイドでもeSIMを利用できる。

既存の物理的なSIMカードからeSIMに変更する場合、eSIM変更手数料として25,000ベトナムドン(約120円)が発生するが、これは通常の物理的なSIMカードの交換手数料と同額である。

eSIMで新規契約する場合、物理的なSIMカードを新規契約してeSIMに変更する手続きとなるため、SIMカード新規発行料の50,000ベトナムドンとeSIM変更手数料の25,000ベトナムドンが二重で発生する。

そのため、eSIMで新規契約すると利用できない物理的なSIMカードも手渡された。

Viettel Telecomが提供するQRコードを読み取ってプランを追加するが、QRコードの発行からプランの追加までViettel Telecomの従業員が行うため、利用者側で設定などを実施する必要はなかった。

■使用感など

SIMカードのサイズはNano SIM (4FF)サイズ、Micro SIM (3FF)サイズ、Mini SIM (2FF)サイズのトリプルカットであるため、特にSIMカードのサイズを気にする必要はない。

APNは設定する必要があればv-internetで問題なくデータ通信の利用を確認できており、テザリング機能も利用できた。

実名登録のための手続きは物理的なSIMカードで新規契約時は求められず、筆者の申告でようやく手続きを進めたが、これが実名登録を正しく実施していないSIMカードを根絶できない原因と感じた。

翌日に同店舗でeSIMを新規契約したが、その際は実名登録のための旅券の提示および顔写真の撮影を求められ、筆者が申告しなくとも円滑に実名登録の手続きを行えた。

Viettel Groupは商業的利益よりも国益を優先し、国家安全保障の観点から通信設備の自社開発も推進しているが、末端の従業員まではViettel Groupや国防省の戦略が完全に浸透しておらず、実名登録の重要性を認識できていない従業員も存在することが見て取れた。

ベトナムで最も選ばれている移動体通信事業者だけあって、サービス自体は実用的に利用できた。

ハノイ市内であればLTEサービスは概ね不満なく使えたが、しばしば屋内ではW-CDMA方式に切り替わることがあった。

筆者はViettel TelecomでSIMカードの購入に合わせてスマートフォン「Viettel V8802」も購入しており、Viettel Telecomのサービスは主にViettel V8802で利用した。

Viettel Telecomが提供するMy Viettelのアプリケーションを利用すると、スマートフォンから簡単に回線の管理を行える。

Viettel V8802にはMy Viettelがプリインストールされており、便利に使うことができた。

My Viettelはベトナム語のみとなるが、加入したプラン、データ通信の残量、有効期間などを確認できるほか、追加でデータ通信を購入することもできるため、Viettel Telecomのサービスを利用時は試す価値があるだろう。



Viettel Telecomで購入したViettel V8802

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