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UAEのアブダビ・ドバイ・シャルジャでEtisalatの5Gサービスを試す



アラブ首長国連邦(UAE)に渡航して同国の移動体通信事業者(MNO)でEtisalatのブランド名で展開するEmirates Telecommunications Corporationが提供する第5世代移動通信システム(5G)のNR方式に準拠した5Gサービスを試せたため、周波数やエリア、使用した感想などを紹介する。

2019年12月下旬にアラブ首長国連邦の首都・アブダビ市、ドバイ市、シャルジャ市を訪問してEmirates Telecommunications Corporationの5Gサービスを利用した。

Emirates Telecommunications CorporationはNR方式でFR2の周波数を導入する計画もあるが、まずは3.5GHz帯のみを使用しており、3.5GHz帯のNR BandはFR1のn78となる。

第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成のOption 3を実装するため、NR方式の接続にはアンカーバンドとして動作するLTE方式への常時接続が前提で同時通信を行う。

同時通信を実現する技術がデュアルコネクティビティ(E-UTRA-NR Dual Connectivity:EN-DC)となり、標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)ではNR BandやLTE BandなどのほかにEN-DCの組み合わせも定義されている。

Emirates Telecommunications Corporationで確認できたEN-DCの組み合わせはDC_1A-3A_n78A、DC_1A-3A-20A_n78A、DC_3A_n78Aで、LTE方式の1.8GHz帯(Band 3)もしくは800MHz帯(Band 20)がアンカーバンドとして機能することも併せて確認できた。

EN-DCが動作時にLTE方式はBand 3やBand 20を優先の搬送波とするキャリアアグリゲーション(CA)の利用も可能で、Band 3が優先の搬送波で第二の搬送波に2.1GHz帯(Band 1)を追加、Band 20が優先の搬送波で第二と第三の搬送波にBand 1またはBand 3が追加される場合があった。

NR方式のアンテナ統合型無線装置は基本的に中国のHuawei Technologies (華為技術)製である。



NR方式のアンテナ統合型無線装置 (アブダビ市)

Emirates Telecommunications Corporationは5Gサービス向けに特別な料金プランやオプションなどは用意せず、基本的に端末側がEmirates Telecommunications Corporationの5Gサービスに対応していれば、追加料金や申し込みなど不要で5Gサービスにアクセスできる。

サウジアラビア最大手の移動体通信事業者でstcのブランド名で展開するSaudi Telecom Companyで購入した中国のHuawei Technologies (華為技術)製のスマートフォン「HUAWEI Mate 20 X (5G) (型番:EVR-N29)」のMEA版で試したところ、問題なくEmirates Telecommunications Corporationの5Gサービスを利用できた。

NR BandやEN-DCの組み合わせなどに問題なくとも、端末側の仕様上の都合で5Gサービスにアクセスできない場合もあるが、Saudi Telecom Companyが取り扱うHUAWEI Mate 20 X (5G)はEmirates Telecommunications Corporationが取り扱うHUAWEI Mate 20 X (5G)と同じくMEA版であるため、Emirates Telecommunications Corporationの5Gサービスも問題なく動作する。

HUAWEI Mate 20 X (5G)のMEA版はEmirates Telecommunications Corporationが5Gサービスの対応機種として正規に取り扱うため、購入場所に関係なくEmirates Telecommunications Corporationで5Gサービスを試すためには適すると言える。

アブダビ市、ドバイ市、シャルジャ市で5Gサービスを試したところ、都市によって整備状況に大きな差が見られた。

アラブ首長国連邦の首都でEmirates Telecommunications Corporationが本社を置くアブダビ市では整備が進んでおり、屋外であれば郊外を除けば基本的にNR方式のカバレッジを検出できるほど面的に整備されていた。

宿泊したホテルには通りを挟んで向かい側にNR方式のアンテナ統合型無線装置が設置されており、客室内でもNR方式のカバレッジを検出できた。

Emirates Telecommunications Corporationの施設内では屋内もNR方式を整備しており、下りの通信速度は実測で1Gbpsを超えた。



NR方式に接続して通信速度を測定 (アブダビ市)

なお、HUAWEI Mate 20 X (5G)のMEA版ではNR方式のカバレッジを検出するとアンテナピクトが5G表示となり、信号強度はアンカーバンドのLTE方式とNR方式が個別に表示される。

一部の機種ではNR方式のカバレッジの検出に関係なくLTE方式で接続時にSIB2のupperLayerIndication-r15で判断して5G表示となる場合があるが、HUAWEI Mate 20 X (5G)のMEA版はそうではない。

5G表示となれば確実にNR方式のカバレッジを検出しているが、NR方式の信号品質が悪ければ5G表示でもLTE方式のみを介してデータ通信を行う場合もある。

Emirates Telecommunications Corporationは5Gサービスの提供エリアを公開しているが、あまり信用できない印象で、ドバイ市やシャルジャ市ではアブダビ市と異なりエリアが狭かった。

ドバイ市でも問題なく5Gサービスを利用できたが、アブダビ市ほどは整備は進んでいないように見受けられた。

アブダビ市と比べてNR方式のアンテナ統合型無線装置が少ない印象で、またドバイ市は超高層ビルや地下が非常に多いため、整備はアブダビ市より難しそうに感じた。

屋外の混雑地点には優先的にNR方式のアンテナ統合型無線装置を設置している模様である。

ドバイ市からすぐ近くのシャルジャ市はアブダビ市やドバイ市とは異なり田舎町のような印象で、5Gサービスはスポット的に利用できるにとどまった。

NR方式のアンテナ統合型無線装置どころか基地局自体が少ないが、都市の規模などを考慮してもアブダビ市やドバイ市が優先されることは当然で、これは十分に想定できていた。

NSA構成のOption 3の段階では5Gの特徴の一部である超高速大容量(eMBB)を実装したにすぎず、5Gの特徴をすべて生かせるわけではないが、5Gサービスのエリアであれば高速な通信を体験できる。

アブダビ市やドバイ市では5Gサービスのエリアも拡大しており、しかも従来とまったく同じ料金で5Gサービスを利用できるため、アブダビ市やドバイ市に渡航する機会があれば5Gサービスを試すのも貴重な経験になると思われる。

特にアブダビ市は5Gサービスの整備が進んでいるだけではなく、治安が良好でドバイ市のような喧騒からも離れられ、非常に過ごしやすい都市と感じた。

なお、アラブ首長国連邦では2社の移動体通信事業者が存在し、Emirates Telecommunications Corporationは加入件数ベースの占有率が55%前後とリードしている。

Emirates Telecommunications Corporationの株式の60%をアラブ首長国連邦政府直轄の投資ファンドであるEmirates Investment Authority (首長国投資庁:EIA)が保有する状況で、Emirates Telecommunications Corporationは事実上の国有企業である。

アラブ首長国連邦ではもちろんのこと、中東およびアフリカで最初に5Gサービスを商用化した移動体通信事業者がEmirates Telecommunications Corporationで、世界でも9番目と早い段階に5Gサービスを導入しており、2019年5月30日より5Gサービスを提供している。



Emirates Telecommunications Corporationの本社前 (アブダビ市)

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