香港の携帯電話事業者3社、3.5GHz帯の制限エリアではn79を中心に5G整備
香港特別行政区の移動体通信事業者(MNO)であるChina Mobile Hong Kong (中国移動香港)、Hong Kong Telecommunications (HKT)、SmarTone Mobile Communications (数碼通電訊)は3.5GHz帯制限地帯では4.9GHz帯を中心に第5世代移動通信システム(5G)を整備していることを確認できた。
香港特別行政区では5G向け周波数として3.5GHz帯を割当したが、3.5GHz帯は既存免許人が固定衛星業務で利用している。
3.5Ghz帯で5Gを導入時に固定衛星業務に影響を与えると想定される場所は3.5GHz帯制限地帯として移動体通信事業者に対して3.5GHz帯の利用を禁止しているため、移動体通信事業者は3.5GHz帯で5Gを整備できない。
香港特別行政区の移動体通信事業者は4社で、いずれも5G向け周波数として3.5GHz帯を取得した。
3.5GHz帯は世界的に5Gで主流の周波数であるため、香港特別行政区の移動体通信事業者は4社とも3.5GHz帯を中心に5Gを整備している。
Hutchison Telephone (和記電話)を除く3社は5G向け周波数として4.9GHz帯も取得しているため、3.5GHz帯制限地帯では4.9GHz帯を中心に5Gを整備することになった。
5Gの無線方式はNR方式を採用しており、NR Bandは3.5GHz帯がFR1のn78で、4.9GHz帯がFR1のn79となる。
香港特別行政区では固定衛星業務の地球局は大埔および大潭頭の2か所に所在しており、いずれも地形などに応じて地球局から半径数kmから約10kmの範囲で3.5GHz帯制限地帯を設けている。
3.5GHz帯制限地帯には市街地も含まれ、香港特別行政区の人口の約13%が3.5GHz帯制限地帯に居住する。
人口は大潭頭周辺より大埔周辺の方が多いため、4.9GHz帯を取得した移動体通信事業者は大潭頭周辺より大埔周辺を優先して4.9GHz帯で5Gの整備を進めている。
特にSmarTone Mobile Communicationsは2023年4月下旬時点では大埔周辺に限り4.9GHz帯で5Gを整備しており、China Mobile Hong Kongは2023年11月下旬時点で大埔周辺に限り4.9GHz帯の帯域幅を拡張している。
なお、SmarTone Mobile Communicationsは2023年11月下旬時点では大潭頭周辺でも4.9GHz帯で5Gを導入した。
3.5GHz帯制限地帯の規模は決して大きくはないため、香港特別行政区でもn79に対応していない携帯端末は少なくない。
10%を超える人口が居住することから、規模は小さいとも言えないため、3.5GHz帯制限地帯を縮小する案もある。
2018年半ば時点で3年以内に地球局を大潭頭に集約する案も提起されていたが、実現できていない。
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