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朝中国境都市・丹東の中国聯通、朝鮮公民向け案内を実施



朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)と国境を接する中国の遼寧省丹東市を訪問した。

丹東市は鴨緑江を挟んで北朝鮮・平安北道の道都・新義州市と接しており、丹東市と新義州市は朝中友誼橋(中朝友誼橋)で結ばれている。

そんな丹東市は朝中貿易の最重要拠点となっている。

朝中貿易の7割超が丹東市を経由するため、しばしば朝中貿易の大動脈とも表現される。

朝中友誼橋そばの丹東税関付近では朝になれば北朝鮮へ向かう中国のトラックが、夜になれば北朝鮮へ戻る北朝鮮のトラックが車列を作る。

丹東税関および新義州税関の業務時間内であれば昼夜を問わずコンテナを積んだ多くのトラックが朝中友誼橋を行き交う。

このように朝中貿易の拠点となる丹東市は朝中間の人的往来や物流が盛んで、当然ながら貿易関係者を筆頭に北朝鮮の人々も多い。

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鴨緑江を挟んで眺める北朝鮮・新義州市

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トラックが行き交う朝中友誼橋

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丹東市内で流通する北朝鮮の出版物

北朝鮮の携帯電話事業者は国際ローミングを提供しておらず、もちろん北朝鮮の携帯電話事業者のネットワークは丹東市内に届いていない。

したがって、北朝鮮の人々が丹東市で連絡手段を確保するためには、中国の携帯電話事業者と契約することになる。

北朝鮮のトラックはナンバープレートで容易に判別できるため、注意深く北朝鮮のトラックを眺めていると、携帯電話で連絡を取り合う運転手をしばしば見かけ、やはり中国の携帯電話事業者と契約していることが分かる。

なお、北朝鮮のトラックはほとんどが평북ナンバーで、평북 (平北)は平安北道 (평안북도)の略称である。

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丹東税関付近で車列を作る北朝鮮のトラック

各省級行政区によって日程に多少の前後はあるが、中国ではSIMカードの購入時に実名登録を義務化しており、北朝鮮の人々も実名登録を実施して中国で携帯電話を使用している。

なお、遼寧省では実名登録が未完了のSIMカードに対して、2016年10月1日より利用制限を実施し、実店舗やオンラインで実名登録を済ませると復活させることができた。

さらに、2016年11月1日以降は緊急通報以外の機能を利用不可として実名登録の受け付けは実店舗に限定し、2016年12月1日以降は完全に利用不可とする措置を講じた。

実名登録が必須とはいえ、外国人の場合はすべての営業庁で実名登録を実施できるとは限らず、実際に筆者は一部の営業庁でSIMカードの購入を断られた。

外国人の場合は旅券の提示と顔写真の撮影が必要で、このシステムが未導入の営業庁では実名登録を実施できず、すなわち外国人にSIMカードの販売を行えない。

これらの背景を踏まえて、丹東市内では中国の携帯電話事業者「China United Network Communications (中国聯合網絡通信:以下、China Unicom)」の丹東市分公司が一部の営業庁で北朝鮮の人々に向けた案内を掲示していた。

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北朝鮮の人々に向けた朝鮮語での案内

China Unicomの豆米営業庁(DOU MI SERVICE HALL)では交差点に面する電光掲示板に朝鮮語で「조선려권으로도 전화번호 신청가능 (朝鮮旅券でも 電話番号 申請可能)」と案内していた。

なお、北朝鮮では自国を基本的に「조선 (朝鮮)」と呼び、北朝鮮の旅券には「조선민주주의인민공화국 려권 (朝鮮民主主義人民共和国 旅券)」、南朝鮮(韓国)の旅券には「대한민국 여권 (大韓民国 旅券)」と記載されている。

北朝鮮では頭音法則を適用せず、南朝鮮では頭音法則を適用するため、「旅券」の表記は北南間で異なるが、China Unicomの豆米営業庁では北朝鮮側の表記で案内していることが分かる。

豆米営業庁は直線距離で北朝鮮の新義州市内から2km未満、丹東税関の入口からは1km未満で、貿易などで丹東市を訪れる北朝鮮の人々が利用することも少なくない模様である。

参考までに、豆米営業庁の営業時間は8時~17時(中国標準時)となっている。

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China Unicomの豆米営業庁

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China Unicomの豆米営業庁の店内

北朝鮮の人々に向けて案内することからも分かるが、北朝鮮を含めた外国人の実名登録を受け付けており、もちろん筆者の日本国旅券でも実名登録を実施してSIMカードを購入できた。

実名登録の手続きはシンプルで、旅券の顔写真ページを所持した状態で顔写真を撮影されるだけである。

SIMカードのサイズはMini SIM (2FF)サイズとNano SIM (4FF)サイズのデュアルカット、Mini SIM (2FF)サイズ、Micro SIM (3FF)サイズ、Nano SIM (4FF)サイズのトリプルカットが用意されていた。

電話番号がSIMカードの台紙に記載されており、提示された選択肢の中からは自由に電話番号を選べたが、特別に希望する電話番号がなければトリプルカットを選べば無難だろう。

支払方式は先払い(プリペイド)式で、掲示されていた複数の料金プランのうち外国人は月額料金が88人民元(約1,500円)と99人民元(約1,700円)のみ加入を受け付けると案内していた。

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China Unicomの料金プランと内容

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China UnicomのSIMカード

筆者は88人民元のプランを選択したが、新規に電話番号を取得する場合は初期費用が発生するため、合計で100人民元(約1,700円)を請求された。

音声通話およびデータ通信を利用可能で、データ通信はChina Unicomが沃4G+として展開する高速なLTEサービスも使える。

丹東市の中心部ではLTE-Advancedの主要技術であるキャリアアグリゲーション(CA)の導入も確認できた。

ただ、中国で利用が規制されているコンテンツは利用できないため、VPNを活用するなどの対策が必要である。

朝中関係の動向を探るために丹東市を訪問する人々も少なくない模様であるが、China Unicomの豆米営業庁では朝中国境都市ならではの案内を見ることができた。

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