スポンサーリンク

日本の携帯電話事業者が採用するNR Bandを予想



総務省(Ministry of Internal Affairs and Communications:MIC)はNTT DOCOMO、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephone (沖縄セルラー電話)、SoftBank、Rakuten Mobile (楽天モバイル)に対して第5世代移動通信システム(5G)向け周波数の割当を実施し、これら携帯電話事業者各社は5Gの導入のため準備を進めている。

各社とも5Gでは無線設備規則第49条の6の12に規定する技術基準(5G NR)に係る無線設備を使用するため、5Gの通信方式として標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)が5Gの要求条件を満たすために規定したNR方式の導入が決まっている。

5Gの商用化に向けた取り組みは活発化しており、特にNTT DOCOMOとKDDIは2019年7月31日付けで5Gの商用免許を取得し、SoftBankは同日付けで5Gの予備免許を取得した。

また、商用の5G基地局が総務省の工事設計認証を取得し、新たな情報が判明しているため、3GPP Release 15でNR方式向けに定義されたNR Bandを基準に、改めて各社が採用するNR Bandを推測してみた。

KDDIおよびその連結子会社のOkinawa Cellular Telephoneは地域ごとに連携する者として1者の扱いで周波数の割当を受けており、以下から2社をKDDIグループと総称する。

周波数の割当枠と割当先の携帯電話事業者は下記の通り。

ア:3,600MHzを超え3,700MHz以下:NTT DOCOMO
イ:3,700MHzを超え3,800MHz以下:KDDIグループ
ウ:3,800MHzを超え3,900MHz以下:Rakuten Mobile
エ:3,900MHzを超え4,000MHz以下:SoftBank
オ:4,000MHzを超え4,100MHz以下:KDDIグループ
カ:4,500MHzを超え4,600MHz以下:NTT DOCOMO
キ:27.0GHzを超え27.4GHz以下:Rakuten Mobile
ク:27.4GHzを超え27.8GHz以下:NTT DOCOMO
ケ:27.8GHzを超え28.2GHz以下:KDDIグループ
コ:29.1GHzを超え29.5GHz以下:SoftBank

各割当枠の周波数範囲から、採用できるNR Bandは下記の通り。

■NR Band
ア:n77またはn78
イ:n77またはn78
ウ:n77
エ:n77
オ:n77
カ:n79
キ:n257またはn258
ク:n257
ケ:n257またはn261
コ:n257

3GPP Release 15では450MHzから6GHzのFR1と24.25GHzから52.6GHzのFR2に分けられ、アからオの3.7GHz帯とカの4.5GHz帯がFR1、キからコの28GHz帯がFR2となる。

まず、FR1ではアとイに複数の選択肢がある。

アの周波数に対応したNTT DOCOMO向け基地局とイの周波数に対応したKDDIグループ向け基地局が工事設計認証を通過し、型式が判明している。

複数の基地局が工事設計認証を通過しているが、そのうちスウェーデンのEricssonが開発した基地局は型式の末尾がNR Bandを指すと思われ、いずれもn78と推定できるため、アとイともにn77ではなくn78を採用する可能性が高い。

KDDIグループはオでn77の採用が確定しているため、イではn77を採用する可能性も考えられたが、n78の可能性が濃厚と思われる。

2019年8月24日時点でNR方式を商用化した32社のうち米国の4社を除いた全社がn78を採用するなど、世界的にはn78が主流の状況であるため、端末調達や国際ローミングを考慮してn78を選択した可能性が考えられる。

FR2ではキとケに複数の選択肢がある。

そのうちケはアとイで説明した理由と同じく工事設計認証からn257と推測できるため、ケはn257の可能性が極めて高いと考えられる。

そもそも、n261は北米向けを考慮して定義されたため、仮に基地局の型式が判明していなくとも、消去法でn257に絞ることができる。

FR2ではNTT DOCOMO、KDDIグループ、SoftBankいずれもn257となり、世界でもn257の採用が進む見通しである。

キは新規参入するRakuten Mobileに割当されており、Rakuten Mobileの規模や対応端末を考慮すると、あえてn258を採用する可能性は低いと推測している。

以上の点を踏まえて、2019年8月24日時点で各社が採用するNR Bandの予想は下記の通り。

NTT DOCOMO:n78、n79、n257
KDDIグループ:n78、n77、n257
SoftBank:n77、n257
Rakuten Mobile:n77、n257

すでに日本国外ではNR方式に対応した端末が発売されており、米国を除いてすべての機種がn78に対応し、一部の限られた機種のみがn77およびn79にも対応する。

NR方式にはNR方式が単独で動作するスタンドアローン(SA)構成と、NR方式とLTE方式が連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成が規定されている。

NR方式を導入した32社すべてがNR方式の導入初期はNSA構成を採用しており、日本の各社も導入初期はNSA構成を採用する見込み。

NSA構成でNR方式を利用するためにはアンカーバンドとなるLTE方式への常時接続が前提となり、LTE方式とNR方式のデュアルコネクティビティ(EN-DC)技術によりNR方式への接続を実現する。

EN-DCにはLTE BandとNR Bandの組み合わせが定義されており、NSA構成のNR方式を利用するためにはNR BandのほかにEN-DCの組み合わせも考慮する必要がある。

スポンサーリンク

コメントを残す









  • follow us in feedly
  • Recent Entries


  • スポンサーリンク

    Instagram



  • Amazonアソシエイト

  • SNS

  • Calendar

    2023年9月
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
  • Archive

  • Select Category

  • LINK