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UAEの航空会社でOnAirの航空機内GSMを利用、MCCは国際の901



アラブ首長国連邦(以下、UAE)の航空会社に搭乗時に航空機ローミングを利用できたので紹介する。

航空機ローミングを利用できる航空会社および機材は限られている。

これまでに航空機ローミングに対応した航空会社および機材に搭乗した経験はあるが、航空機ローミングを提供する対象の路線ではないか、提供の条件を満たしていないためか、航空機内ローミングは提供していなかった。

レバノンからUAE、UAEから日本へ移動時にようやく航空機ローミングを利用することができた。

レバノンのベイルート-ラフィク・ハリリ国際空港(BEY)からUAEのアブダビ国際空港(AUH)までUAEのエティハド航空がA321-200で運航するEY538便、UAEのドバイ国際空港(DXB)から関西国際空港(KIX)までエミレーツ航空がA380-800で運航するEK316便に搭乗し、いずれも航空機ローミングを提供していた。

航空機ローミングのネットワークは航空会社ではなく専門の通信事業者が提供しており、その主要な通信事業者としてはスイスのSITA OnAir SwitzerlandやノルウェーのAeroMobileが知られる。

EY538便およびEK316便ではいずれもSITA OnAir Switzerlandが提供しており、NTT DOCOMO、レバノンのMobile Interim Company 1 (MIC1)およびMobile Interim Company 2 (MIC2)の携帯電話回線で接続できた。

通信事業者名はOnAirと表示された。

通信方式および周波数はGSM方式の1.8GHz帯を使用しており、接続と同時に携帯電話回線の加入先や運航する航空会社からのSMSを受信した。

国識別コード(以下、MCC)と事業者識別コード(MNC)で構成される公衆陸上移動体ネットワーク番号(PLMN番号)を確認すると、901-15となっていた。

901は国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)がInternational向けに割当したMCCで、航空機ローミングや船舶ローミングなどでMCCが901のネットワークを見られる。

なお、SITA OnAir SwitzerlandはスイスのSITAの子会社で、SITAとフランスのAirbusとの合弁会社として設立されたが、Airbusは持分の全部をSITAに売却した。

AeroMobileはPanasonicの子会社で、Panasonicは米国のPanasonic Avionics、英国のAeroMobile Communicationsを通じてAeroMobileを所有している。

航空機ローミング向けにGSM方式を提供するシステムはGSM On-boardシステム(以下、GSMOBシステム)とも呼ばれる。

GSMOBシステムに対応した機材にはネットワーク管理ユニット(以下、NCU)と基地局(以下、BTS)が搭載されており、NCUが航空機内のすべての乗客の携帯電話を制御し、BTSが乗客の携帯電話にネットワークへのアクセスを提供する。

NCUはすべての乗客の携帯電話の電波発射を制御するほか、地上のネットワークをはじめとした航空機外のネットワークに接続することも防げるという。

GSM方式の電波は天井に内蔵された漏洩同軸ケーブルから発射している模様である。

航空機ローミングを提供できる条件は国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization:ICAO)の航空通信パネル(Aeronautical Communications Panel:ACP)などで定められており、大まかには航空機の飛行フェーズごとに状態が異なる。

航空機がTaxiing Outの状態ではGSMOBシステムがアイドル状態、NCUとBTSが順にスタンバイ状態となり、Take-OffとClimbの状態でもGSMOBシステムはそのままで、航空機の高度が10,000ft (3,048m)以上に到達するとNCUがアクティブ状態、次にBTSがアクティブ状態となる。

水平飛行に入るとGSMOBシステムがオペレーショナル状態に変わり、同時に携帯電話の使用を許可する旨の機内放送が行われ、このタイミングから携帯電話の機内モードを解除してGSM方式を使用できる。

水平飛行の終了に伴い携帯電話の使用を許可しない旨の機内放送が行われ、このタイミングから携帯電話の使用は不可となり、BTSがスタンバイ状態に入る。

航空機の高度が10,000ft以下まで下がるとNCUがスタンバイ状態になると同時にGSMOBシステムがアイドル状態となり、この状態で飛行フェーズはDescent、Approach、Landing、Taxiing Inとなる。

なお、航空機の飛行フェーズが航空機ローミングを提供できる条件を満たしていても、その他の特定の条件下では航空機ローミングを提供できない場合がある。

GSMOBシステムの運用が飛行する領空の電気通信分野規制当局に許可されていない場合やGSMOBシステムに障害が発生した場合は航空機ローミングを提供できず、運航乗務員または客室乗務員が何らかの理由で航空機ローミングの制限を決定した場合は操縦室内の制御盤を介して航空機ローミングの提供を終了することができる。

年末年始、航空機に搭乗する機会が増えると思われ、国際線に搭乗する場合は可能ならば航空機ローミングを試してみると素晴らしい思い出のひとつになるかもしれないが、利用状況に応じて高額な料金が発生する可能性があるため、この点は悪い思い出にならないよう十分に留意しておきたい。



OnAirのGSMネットワークのMCCは901



デュアルSIMで2回線ともOnAirに接続



地上のネットワークを検出する場合も

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