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NTTドコモの5Gプレサービス用スマホSamsung SM-G977Dを紹介



NTT DOCOMOは第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスの開始に先立ち5Gプレサービスを開始した。

5Gプレサービス向け端末として韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)、韓国のLG Electronics、Sony Mobile Communicationsが開発したスマートフォン、SHARPが開発した据置型無線LANルータが用意されている。

2019年9月20日に開催された5Gプレサービス ローンチセレモニーで5Gプレサービス向け端末を触る機会を得たので、Samsung Electronicsが開発したスマートフォン「SM-G977D」を紹介する。

先に5Gプレサービスに関する概要をすると、5Gプレサービスでは標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)で5Gの要求条件を満たすために規定した通信方式であるNRを採用した。

周波数はサブ6GHz帯のFR1が3.7GHz帯および4.5GHz帯、ミリ波(mmWave)のFR2が28GHz帯で、該当するNR Bandは3.7GHz帯がn78、4.5GHz帯がn79、28GHz帯がn257である。

5Gプレサービスは商用サービスと同等の環境となるため、商用サービスのNR Bandはn78、n79、n257で確定したことになる。

なお、n78は世界的には3.5GHz帯と呼ぶことが多く、移動体通信業界では準ミリ波とミリ波を含めてFR2で定義されたNR Bandをミリ波と呼ぶことが多い。

NRにはNRが単独で動作するスタンドアローン(SA)と、NRとLTEが連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)が規定されている。

5GプレサービスではNSAで実装しており、商用サービスでもまずはNSAとなる。

3GPPでは構成がSAまたはNSA、コアネットワークがEPCまたは5GCなど、それぞれに応じてNRの収容に関する複数のRANアーキテクチャオプションが策定されており、NTT DOCOMOはLTEのEPCに収容するOption 3を採用すると思われる。

SM-G977Dは型番規則からNTT DOCOMO向けのSamsung Galaxy S10 5Gと分かる。

NTT DOCOMOは製品名などを公表していないが、外観を確認しても世界の複数の国で一般販売されているSamsung Galaxy S10 5Gであることは火を見るより明らかである。



Infinity-Oディスプレイを搭載

NR Bandなどを除いて基本的なスペックは一般販売されているSamsung Galaxy S10 5Gと同等になると思われるが、あくまでも5Gプレサービス向けの試作機としており、一般販売の予定はない。

チップセットはQualcomm Snapdragon 855 Mobile Platformを搭載し、NRに対応するために通信モデムとしてQualcomm Snapdragon X50 5G modemを組み合わせている。

なお、一般販売されているSamsung Galaxy S10 5GにはチップセットがSamsung Exynos 9 Series 9820で、NRに対応した通信モデムとしてSamsung Exynos Modem 5100を組み合わせたバリエーションも存在する。

リアパネルにはGalaxyのロゴを確認できた。

Samsung Electronicsは日本では社名を前面に出さず、Samsung Electronicsが所有するスマートフォンのブランドであるGalaxyを前面に出して展開している。

日本向けのSamsung Electronics製のスマートフォンにはSamsung ElectronicsのロゴではなくGalaxyのロゴが入っており、5Gプレサービス向けの試作機も例外ではない。



背面にはクアッドカメラを搭載



光の当たり具合でリアパネルの色が変化

NTT DOCOMOが運用するNR Bandのうち、n78、n79、n257すべてに対応している。

通信速度はFR1で下り最大2.4Gbps/上り最大107Mbps、FR2で下り最大3.2Gbps/上り最大202Mbpsとなる。

ただ、NTT DOCOMOが公表した通信速度はLTEとNRのデュアルコネクティビティ(E-UTRA-NR Dual Connectivity:EN-DC)を適用時の通信速度であり、NRのみの通信速度ではないため留意しておきたい。

NSAのOption 3ではLTEを提供する基地局であるeNBがマスターノード、NRのNSA向けRANでNRを提供する基地局であるen-gNBがセカンダリノードとなる。

そのため、NSAのOption 3ではNRの接続にはLTEへの常時接続が前提となっている。

常時接続するLTEはアンカーバンドと呼ばれており、NRとLTEの同時通信を実現する技術であるEN-DCが動作時にNRで通信できる。

本来の仕様としてNRが単体で通信することはなく、NRとLTEの同時通信となるため、EN-DCを適用時の通信速度を公表したと思われる。

認証情報などを表示するラベルを開くと、ラベルには特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク(以下、技適マーク)を確認できた。

技適マークに併記される電気通信事業法に基づく設計認証の設計認証番号はDF190127003、電波法に基づく工事設計認証の工事設計認証番号は005-102209である。

あくまでも5Gプレサービス向けで一般販売しない試作機のためか、通信方式はNRとLTEのみに対応している。

したがって、音声通話はLTE上で行うVoLTE (Voice over LTE)のみとなり、DFから始まる電気通信事業法に基づく設計認証の設計認証番号が付されている。

製造国表示はMADE IN KOREAで、韓国の工場で製造することが分かる。



製造国は韓国

Samsung Electronicsは子会社を通じて韓国、中国、ベトナム、インドネシア、インド、ブラジルでスマートフォンの工場を運営している。

このうち、中国は完全に閉鎖する模様で、インドネシア、インド、ブラジルではそれぞれ当該国向けおよびその周辺国向けのスマートフォンの製造を行う。

過去には日本を含めた世界各地に投入するスマートフォンのほとんどが韓国で製造されたが、すでにベトナムへの移管を進めており、一部のスマートフォンを除いてほとんどがベトナムで製造される状況である。

ただ、Samsung Electronicsは量産機ではなく試作機は基本的に韓国で製造しており、韓国の工場は滋賀県大津市と姉妹都市提携している慶尚北道亀尾市に位置する。

Samsung Electronicsのスマートフォンの製造拠点はベトナムが中心となったが、Samsung Electronicsにとって最初のNRに対応したスマートフォンであり、世界初の商用のNRに対応したスマートフォンでもあるSamsung Galaxy S10 5Gは例外的で、完全に韓国で製造していることも付け加えておきたい。

NTT DOCOMOはNRに準拠した5Gの商用サービスを2020年春に開始することが決まっており、対応するスマートフォンは2020年春に発売する予定である。

Samsung Galaxy S10シリーズの後継として登場すると見込みのSamsung Galaxy S11シリーズが発売されるタイミングに近いと思われる。

Samsung Galaxy Sシリーズは初代を除いて日本でも毎年発売されており、Samsung Galaxy S11シリーズも日本で発売される可能性が極めて高いと言える。

Samsung Galaxy S11シリーズにはNRに対応したバリエーションが用意されることは確実で、それがNTT DOCOMOから登場する可能性は高いと推測している。

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