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東大阪市花園ラグビー場でNTTドコモの5Gプレサービスを体験



NTT DOCOMOの関西支社は第5世代移動通信システム(5G)の商用化に先立ち、5Gプレサービスをラグビーワールドカップ2019 日本大会の会場で実施した。

大阪府東大阪市の東大阪市花園ラグビー場で開催されたアルゼンチン対トンガの試合で5Gプレサービスを実施し、5Gをいち早く体験できる機会が与えられた。

体験内容は試合を多視点で同時視聴できるマルチアングル視聴となり、一般的な試合中継と同様の位置から撮影した映像やスタンド最上段から撮影した映像などを同時に視聴できた。

なお、マルチアングル視聴でも詳細なコンテンツは試合によって異なり、日本戦ではピッチ上の日本代表選手全員の統計情報をリアルタイムで確認できたほか、主審目線の映像も体験できたという。

NTT DOCOMOは5Gプレサービス用のスマートフォンとして複数の機種を用意しているが、マルチアングル視聴では韓国のLG Electronicsが開発したOA1930が貸し出しされた。

OA1930はLG V50 ThinQ 5Gをベースとする。

LG V50 ThinQ 5Gにはオプション品としてDual Screen for LG V50 ThinQ 5Gが用意されており、本体にDual Screen for LG V50 ThinQ 5Gを装着するとデュアルスクリーンで利用できる。

OA1930にもDual Screen for LG V50 ThinQ 5Gと同様のオプション品があらかじめ装着されており、片方の画面では複数の映像を同時に表示し、その中から選択した映像をもう片方の画面で大きく表示して視聴した。



LG Electronics製のOA1930

試合中のピッチと見比べると多少の遅延は見られたが、映像が途切れることはなく高速通信を体験できた。

5Gプレサービスは超高速通信のeMBBを優先的に策定した3GPP Release 15に準拠しており、高信頼・低遅延のURLLCや多数同時接続のmMTCは3GPP Release 16で策定される。

また、遅延は5Gネットワークの性能のみならず、アプリケーションや配信システムの性能も影響するため、現時点ではある程度の遅延は仕方ないと捉えている。

OA1930ではLG V50 ThinQ 5Gと同様に外付けのオプション品でデュアルスクリーンを実現したが、マルチアングル視聴にはフォルダブルのようなスタイルも生かせそうに感じた。

5Gプレサービスでは標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)で5Gの要求条件を満たすために規定された通信方式であるNRを導入しており、周波数はFR1が3.7GHz帯および4.5GHz帯、FR2が28GHz帯である。

NR Bandは3.7GHz帯がn78、4.5GHz帯がn79、28GHz帯がn257に該当する。

5Gプレサービスは5G商用サービスと同様の環境となるため、5G商用サービスでもNR Bandはn78、n79、n257となる。

東大阪市花園ラグビー場にはn78、n79、n257の商用基地局が設置されているが、アルゼンチン対トンガの試合ではn78の100MHz幅およびn79の100MHz幅を運用していることが確認できた。

NRにはNRが単独で動作するスタンドアローン(SA)と、NRとLTEが連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)が規定されているが、5GプレサービスはNSAで運用している。

参考までにOA1930のNRに関するスペックを紹介すると、NR Bandはn78およびn79に対応し、n257には非対応となり、構成はNSAに対応するが、SAには非対応である。



東大阪市花園ラグビー場に設置されたNR基地局アンテナ

3GPPでは構成がSAまたはNSA、コアネットワークがEPCまたは5GCなど、それぞれに応じてNRの収容に関する複数のRANアーキテクチャオプションが策定されており、NRの導入初期はNTT DOCOMOを含めてほとんどの移動体通信事業者(MNO)がLTEのEPCに収容するOption 3を採用する。

NSAのOption 3ではLTEを提供する基地局のeNBがマスターノード、NRのNSA向けRANでNRを提供する基地局のen-gNBがセカンダリノードとなるため、NRの接続にはLTEへの常時接続が必要で、この常時接続するLTEがアンカーバンドと呼ばれる。

NRとLTEの同時通信を実現する技術がLTEとNRのデュアルコネクティビティ(E-UTRA-NR Dual Connectivity:EN-DC)で、アンカーバンドに接続してEN-DCが動作時にNRを利用できる。

東大阪市花園ラグビー場で運用していたEN-DCの組み合わせはDC_1A-3A-19A_n78AおよびDC_1A-3A-19A_n79Aとなり、LTEの1.7GHz帯(Band 3)がプライマリとして機能していた。

OA1930は通信モデムとしてQualcomm Snapdragon X50 5G modemを採用しており、FR1では帯域幅が100MHz幅までとなるため、n78とn79のキャリアアグリゲーション(CA)は対応できないが、NTT DOCOMOが5G商用サービスを開始する2020年春にはFR1で200MHz幅まで対応したQualcomm Snapdragon X55 5G modemを搭載したスマートフォンが製品化される見込み。

そのため、通信モデムの性能からn78とn79のキャリアアグリゲーション(CA)も不可能ではないと思われ、5Gプレサービスより高度な技術を適用して5G商用サービスが始まる可能性も考えられる。

なお、ラグビーワールドカップ2019チケット規約では試合会場内で撮影した写真の利用に制限が規定されているため、本記事には東大阪市花園ラグビー場外から撮影したNRの基地局アンテナおよび2019年9月20日に開催された5Gプレサービス ローンチセレモニーで撮影したOA1930の実機を掲載する。

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