スポンサーリンク

台湾でミリ波5Gの活用が後退、亞太電信の消滅で



台湾では政府機関で電気通信分野などの規制を司る国家通訊電波委員会(National Communications Commission:NCC)が第5世代移動通信システム(5G)向け周波数としてサブ6GHz帯(Sub6)の3.5GHz帯とミリ波(mmWave)の28GHz帯を割当したが、5Gの展開で28GHz帯は活用が進んでいない。

台湾の移動体通信事業者(MNO)はChunghwa Telecom (中華電信)、Taiwan Mobile (台湾大哥大)、Far EasTone Telecommunications (遠傳電信)の3社であるが、いずれも28GHz帯の5Gは商用化しておらず、試験的な用途で利用するにとどまる。

Asia Pacific Telecom (亞太電信)は台湾の移動体通信事業者としては唯一、28GHz帯の5Gを商用で利用したが、2023年12月15日を効力発生日としてFar EasTone Telecommunicationsを存続会社、Asia Pacific Telecomを消滅会社とする吸収合併を実行しており、同日をもって法人格が消滅した。

主要な直営店を中心に28GHz帯で5Gを整備したが、消滅の前日までに直営店を完全に閉鎖したため、28GHz帯の5Gは運用を事実上終了しており、台湾ではAsia Pacific Telecomの消滅に伴い28GHz帯の5Gが後退したことになる。

Asia Pacific Telecomが28GHz帯で5Gを展開した経緯としては周波数の割当が関係する。

台湾では5G向け周波数の割当を周波数オークションの形式で行い、Chunghwa Telecom、Taiwan Mobile、Far EasTone Telecommunicationsは3.5GHz帯と28GHz帯、消滅したTaiwan Star Telecom (台湾之星電信)は3.5GHz帯、Asia Pacific Telecomは28GHz帯を取得した。

高速通信とカバレッジの両立が期待できる3.5GHz帯はゴールデンバンドを意味する黄金頻段と呼称されており、需要が高く価格が高騰したため、Asia Pacific Telecomは取得の断念を余儀なくされた。

Asia Pacific Telecomは3.5GHz帯を利用するためにFar EasTone Telecommunicationsと提携したが、5Gの免許に基づき自ら割当を受けた周波数を利用する必要があるため、28GHz帯を活用する以外の選択がなかった。

28GHz帯を利用せざるを得ない状況であるため、直営店で28GHz帯の5G経由で無線LANを提供することになった。

店内には基地局としてフィンランドのNokia Solutions and Networksから調達したMassive MIMO (大規模MIMO)に対応したアンテナ一体型無線装置、端末として台湾のWistron NeWeb Corporation (啓碁科技)から調達した無線LANルータを設置して28GHz帯の5G経由で提供する無線LAN環境を整備した。

Far EasTone TelecommunicationsはAsia Pacific Telecomの権利義務を承継したが、Asia Pacific Telecomは合併前に28GHz帯の5Gを整備した直営店を完全に閉鎖したため、Far EasTone Telecommunicationsは28GHz帯の5Gは運用を引き継いでいない。

スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。









  • follow us in feedly
  • Recent Entries


  • スポンサーリンク

    Instagram



  • Amazonアソシエイト

  • SNS

  • Calendar

    2024年1月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
  • Archive

  • Select Category

  • LINK