W杯対戦国・コートジボワールの携帯電話事情を調べてみた
- 2014年06月15日
- Column
2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会で日本代表の対戦国・コートジボワール。
コートジボワールはあまり馴染みがなく、こんな機会でもないとコートジボワールの携帯電話事情なんて調べることないと思ったので、軽くコートジボワールの携帯電話事情について調べてみた。
2014年6月現在、モバイルネットワークを運用する事業者はMTN Cote d’Ivoire、Orange Cote d’Ivoire、Moov、Comium Cote d’Ivoire、Oricel GreenN、Aircomm Cote d’Ivoire、YooMee Cote d’Ivoireの7社である。
YooMee Cote d’Ivoire以外の6社は音声とデータ通信を提供し、YooMee Cote d’Ivoireはデータ通信のみを提供する。
なお、Warid TelecomがCelcomとして移動体通信サービスの提供を計画し、移動体通信事業のライセンスも取得しているが、帯域の獲得に失敗したため移動体通信サービスの開始まで至っていない。
■各移動体通信事業者のPLMN番号と周波数帯(括弧内はブランド名)
612-01 Comstar (CORA de Comstar) – GSM 1800 MHz
612-02 Moov (Moov) – GSM 1800/900 MHz
612-03 Orange Cote d’Ivoire (Orange) – W-CDMA 2100(I) MHz, GSM 900 MHz
612-04 Comium Cote d’Ivoire (KoZ) – GSM 1800/900 MHz
612-05 MTN Cote d’Ivoire (MTN) – GSM 900 MHz
612-06 Oricel GreenN (GreenN Network) – GSM 1800 MHz
612-07 Aircomm Cote d’Ivoire (Cafe Mobile) – GSM 1800 MHz
612-18 YooMee Cote d’Ivoire (YooMee) – TD-LTE 2300(B40) MHz
各移動体通信事業者について簡単に説明しておく。
■Comstar (612-01)
– ブランド名をCORA de Comstarとして移動体通信サービスを提供していた。
– コートジボワール最初の移動体通信事業者である。
– 1994年にGSM 1800 MHzで移動体通信事業を開始する。
– 2002年に内戦の影響で事業継続が困難となり、復活することなく終了する。
■MTN Cote d’Ivoire (612-05)
– 1996年10月にコートジボワール・Loteny TelecomがGSM 900 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– 移動体通信サービス開始当初はブランド名をTelecelとして提供していた。
– 2005年7月1日に南アフリカ・MTNグループの買収によってMTN Cote d’Ivoireが設立される。
– MTNグループによる買収と同時にブランド名をMTNに変更する。
– 株式保有率はMTNグループが64.7%、コートジボワール・Planorが25.3%、コートジボワールTEYLIUMグループが10%である。
– 2008年にパケット通信規格のEDGEを導入する。
– 2014年6月現在、Orange Cote d’Ivoireと並んでコートジボワール市場を主導している。
■Orange Cote d’Ivoire (612-03)
– 1996年10月28日にコートジボワール・IvoirisがGSM 900 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– 移動体通信サービス開始当初はブランド名をS.I.M Ivoirisとして提供していた。
– 2001年にフランスFrance Telecom (現Orange)による買収によってOrange Cote d’Ivoireが設立される。
– France Telecomによる買収と同時にブランド名をOrangeに変更する。
– 株式保有率はFrance Telecomが85%、コートジボワール・COMAFRIQUE Technologiesが15%である。
– 2008年にパケット通信規格のEDGEを導入する。
– 2010年から2011年の内戦で基地局設備などが破壊されて、移動体通信事業者では最大の被害を受ける。
– 2012年4月にW-CDMA 2100(I) MHzを使用してコートジボワール初となる3Gサービスを開始する。
– W-CDMA 2100(I) MHzの導入と同時にパケット通信規格は下り最大42MbpsのDC-HSDPAと上り最大5.8MbpsのHSUPAを導入する。
– 2014年6月現在、MTN Cote d’Ivoireと並んでコートジボワール市場を主導している。
■Moov (612-02)
– 2005年12月にGSM 1900/900 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– ブランド名は社名と同じくMoovで展開する。
– 企業としてはUAE・Etisalat傘下のATLANTIQUE TELECOM傘下である。
– Comstarは事業停止済みのため、MTN Cote d’IvoireとOrange Cote d’Ivoireに次ぐ3番目の移動体通信事業者となる。
– 2006年7月にパケット通信規格のEDGEを導入する。
■Comium Cote d’Ivoire (612-04)
– 2007年5月31日にGSM 1800/900 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– ブランド名はKoZとして展開する。
– 企業としてはレバノン・Comiumグループ傘下である。
– コートジボワールで4番目の移動体通信事業者となる。
■Oricel GreenN (612-06)
– 2007年にリビア・LAP GreenNがコートジボワール・Oricelの株式の75%を取得する。
– 2008年に社名をOricel GreenNに変更する。
– 2008年12月にGSM 1800 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– 移動体通信サービスの開始時からブランド名をGreenN Networkとして展開する。
– コートジボワールで5番目の移動体通信事業者となる。
■Aircomm Cote d’Ivoire (612-07)
– 2012年にGSM 1800 MHzを使用して移動体通信サービスを開始する。
– 移動体通信サービスを開始時からブランド名をCafe Mobileとして展開する。
– コートジボワールで6番目の移動体通信事業者となる。
– 2014年6月現在、現存する移動体通信事業者では唯一の外資系による出資が0%の企業である。
■YooMee Cote d’Ivoire (612-18)
– 2008年にスイス・DovとAnatがアフリカ市場に参入するためにYooMeeを設立してカメルーン市場に参入する。
– カメルーン市場に参入と同時にYooMeeをYooMee Africaグループとする。
– 2014年5月にコートジボワール市場に参入する。
– コートジボワール市場への参入と同時にTD-LTE 2300(B40) MHzを使用してコートジボワール初の4Gサービスを開始する。
– ネットワークの構築はAlcatel-Lucentが手掛けている。
– データ通信のみを提供しており、音声通話は提供していない。
– 2014年6月現在、コートジボワール唯一の4Gサービスを提供する事業者である。
全8社中、1社が内戦で事業終了、7社が現存しており、現存する7社では5社が2Gのみ、1社が3Gと2G、1社が4Gのみを提供する。
4Gを提供するYooMee Cote d’Ivoireはデータ通信のみであるため、携帯電話サービスはOrange Cote d’Ivoireを除いてすべてが2Gのみとなる。
新興国では3Gを飛ばして4Gの導入を検討していることもしばしばあるので、コートジボワールでも3Gを提供していない移動体通信事業者は3Gを飛ばして4Gの導入を計画する可能性もあると見ている。
携帯電話普及率は2010年で約76%、2012年で約93%であるため、2014年現在では100%を超えていると思われる。
新興国ではプリペイド方式が主流で1人につき何枚もSIMを保有することが多いため、携帯電話普及率が100%を超えていても実際の携帯電話を所有する人口は100%にはまだまだ及ばないだろう。
コートジボワールではこれまでに内戦が起こっており、その度に移動体通信事業者の事業終了や基地局設備の破壊が起きており、今後は移動体通信業界の発展のためにも平和になってほしいと願いたいところ。
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