北朝鮮代表団、ベトナムでViettel Groupを視察
- 2019年03月01日
- DPRK
第2次 朝米首脳会談に合わせてベトナムを訪問した朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の代表団はベトナムの電気通信事業者であるViettel Group (軍隊工業通信グループ)の拠点を視察したことが分かった。
ベトナムの首都・ハノイ市では第2次 朝米首脳会談が2019年2月27日と2019年2月28日の日程で開催されたが、北朝鮮の代表団は2019年2月28日の15時頃にハノイ市のホアラック地区にあるViettel Groupの拠点を視察した。
Viettel Groupはハノイ市のトゥリエム地区に本社を置くが、ハノイ市西部に位置するホアラック地区の工業団地であるホアラック・ハイテクパークには重要な拠点を設置しており、ホアラック・ハイテクパークの拠点で北朝鮮の代表団を迎え入れた。
なお、ホアラック地区は旧ハタイ省の領域にあたり、ハタイ省は2008年8月1日にハノイ市が編入合併して消滅している。
ホアラック・ハイテクパークの拠点では通信設備の研究や製造に加えて、ネットワークオペレーションセンターの運営も行う。
Viettel Groupは北朝鮮の代表団に成長の軌跡や国際事業など企業概要を説明したほか、通信設備の製造を行う施設を案内し、Viettel Groupが製造したeNodeB (evolved Node B)、EPC (Evolved Packet Core)、SMSC (Short Message Service Center)、MSC (Mobile Switching Center)、OCS (Online Charging System)を紹介した。
過去は通信設備をすべて輸入に頼っていたが、自社製造を取り入れて輸出も開始しており、LTE方式では無線アクセスネットワークからコアネットワークの通信設備まで自社製造を行うとアピールしたという。
Viettel Groupが開発した漁船を監視するソリューションや災害時に警報メッセージを配布するシステムなども紹介した模様である。
ネットワークオペレーションセンターではベトナム国内のネットワークやシステムの監視および運用、Viettel Groupが参画するベトナム国外の10の電気通信事業者に対する技術的な支援や助言を行う拠点で、Viettel Groupは北朝鮮の代表団に対してネットワークオペレーションセンターも案内した。
ベトナム国外では子会社または関連会社を通じてカンボジア、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、東ティモール(ティモール・テステ)、カメルーン、ブルンジ、タンザニア、モザンビーク、ハイチ、ペルーに参入しており、ベトナムも含めて移動体通信を中心に電気通信事業を展開する。
また、Viettel Groupの幹部は北朝鮮の代表団にハノイ市にあるホアンキエム湖の写真を額縁に入れて贈呈し、北朝鮮の代表団は国家安全保障の確保や電気通信分野の発展のためViettel Groupとの交流を希望する意思を表明したという。
Viettel Groupはベトナムで最大手の電気通信事業者で、ベトナム人民軍を統括するベトナムの国防省(Ministry of National Defence:MOD)が所有し、ベトナム政府の政令では国防省が命じた政治的、軍事的、その他の特別な業務を遂行する義務があると規定されている。
第2次 朝米首脳会談では国際メディアセンターで電気通信役務を提供する公式な電気通信事業者として重要な任務を果たした。
これまでに、Viettel Groupは北朝鮮への参入を検討していることが分かっている。
Viettel Groupとしては北朝鮮の代表団を受け入れて北朝鮮当局者と関係強化を図り、さらにViettel Groupの技術や国際事業の実績を紹介することで、北朝鮮で事業の機会を得るため働きかける狙いがあると考えられる。
■関連記事
ベトナムのViettel Group、北朝鮮への参入を狙う理由は
ベトナムのViettelとVNPT、第2次 朝米首脳会談で電気通信役務を提供
北朝鮮代表団、ベトナムでスマホ工場の入居施設を視察
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。