NTTドコモ、4.5GHz帯(n79)が5G NRの展開で強みに
NTT DOCOMOは第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスの開始に先立ち5Gプレサービスを開始した。
5Gプレサービスでは標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)で5Gの要求条件を満たすために規定した通信方式であるNRを導入している。
周波数は3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯を使用するが、このうち4.5GHz帯がNTT DOCOMOにとって強みとなる可能性がある。
NRの周波数は450MHzから6GHzのFR1と24.25GHzから52.6GHzのFR2でNR Bandとして定義されており、3.7GHz帯と4.5GHz帯がFR1、28GHz帯がFR2に該当し、NR Bandは3.7GHz帯がn78、4.5GHz帯がn79、28GHz帯がn257となる。
5Gプレサービスは5G商用サービスと同等の環境となるため、5G商用サービスのNR Bandはn78、n79、n257で確定した。
なお、世界的にはn78は3.5GHz帯と呼ばれ、移動体通信業界では準ミリ波とミリ波を含めてFR2の周波数をミリ波と呼ぶことが多い。
総務省(Ministry of Internal Affairs and Communications:MIC)の電波利用ホームページでNTT DOCOMOのNRの無線局免許情報を確認すると、2019年8月30日までに無線局免許が交付された局数は3.7GHz帯が74局、4.5GHz帯が92局、28GHz帯が91局となっている。
4.5GHz帯が最も多く、FR1では3.7GHz帯と4.5GHz帯で局数に開きがあるが、この背景として4.5GHz帯の方が無線局免許の取得が容易という。
3.7GHz帯および28GHz帯は衛星システムと周波数を共用しており、基地局の開設には干渉の確認が必要であるが、4.5GHz帯ではその必要がない。
NTT DOCOMOの説明ではFR1は比較的広いカバレッジを確保できるため、面的なカバーに活用する方針である。
一方で、FR1より帯域幅が広いFR2ではFR1より高速通信を実現できるが、広いカバレッジを確保できないため、高速通信が求められる場所での整備に活用するという。
カバレッジの確保にFR1を活用することは、NTT DOCOMOのみならず、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephone (沖縄セルラー電話)、SoftBank、Rakuten Mobileも共通と考えられる。
3.7GHz帯および28GHz帯はKDDIおよびOkinawa Cellular Telephone、SoftBank、Rakuten Mobile (楽天モバイル)に対しても割当されているが、4.5GHz帯はNTT DOCOMOのみが割当を受けている。
2019年9月20日にNTT DOCOMOが開催した5Gプレサービス ローンチセレモニーでも担当者が言及しており、やはり3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯のうち4.5GHz帯が最も展開しやすいとのことである。
そのため、NTT DOCOMOはNRを展開するにあたり、4.5GHz帯を保有することが大きな強みとなる可能性が高い。
参考までに、世界でNRを商用化した移動体通信事業者(MNO)は30社を超えるが、米国を除くとすべてn78で商用化しており、北米を除いたグローバルにおいてFR1ではn78が主流となる見通し。
米国以外ではFR2でNRを商用化していないが、FR2の周波数の割当はグローバルで進んでおり、北米以外ではn257が主流となる見込み。
NTT DOCOMOが採用するn78、n79、n257のうち、n79を採用する移動体通信事業者は多くない見込みであるが、加入件数を基準として中国最大の移動体通信事業者で、世界最大の移動体通信事業者でもあるChina Mobile Communications Group (中国移動通信集団)がn79を導入することが確定している。
中国ではChina Broadcasting Network (中国広播電視網絡)もn79を導入する可能性が極めて高い。
また、割当先は決定していないが、香港特別行政区およびマカオ特別行政区でもn79の導入が決定的で、香港特別行政区では割当枠の都合から2社がn79を導入する予定である。
マカオ特別行政区はともかく、日本、中国、香港特別行政区の主要な移動体通信事業者が採用するNR Bandは多くの端末が対応してくる可能性が高く、n79に対応する端末は広く流通するようになると思われる。
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