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北朝鮮代表団がVinsmartのスマホ工場を訪問した背景は


第2次 朝米首脳会談に合わせてベトナムを訪問した朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の代表団はベトナムのVingroupの子会社であるVinsmart research and manufactureの工場が入る拠点を訪問した。

Vinsmart research and manufactureの工場ではスマートフォンを含む携帯端末の製造を手掛ける。

そこで、北朝鮮を含むアジアの電気通信分野を追究している筆者なりに北朝鮮の代表団がVinsmart research and manufactureの工場を訪問した背景を読み解いてみる。

2019年2月27日と2019年2月28日の日程で第2次 朝米首脳会談がベトナムの首都・ハノイ市で開催されたが、北朝鮮の代表団のうち約25名は2019年2月27日の午後にVinsmart research and manufactureの上場などを訪れた。

北朝鮮では工業の強化と国産化を推進しているため、北朝鮮の代表団がハノイ市近郊で工業が発展するハイフォン市またはバクニン省を視察することは有力視されており、筆者自身もハイフォン市とバクニン省のいずれかは訪問するだろうと予測していた。

バクニン省には韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)や中国に本社機能を置く英領ケイマン諸島のFIH Mobile (富智康集團)が携帯端末の工場を設置しており、外資企業の誘致と工業都市としての発展に成功している。

Samsung Electronicsはハノイ市近郊のタイグエン省にも携帯端末の工場を設置しており、Samsung Electronicsの携帯端末の国別製造規模としてはベトナムが最大級となっている。

2018年9月18日から2019年9月20日まで北朝鮮の首都・平壌市で行った第5次 北南首脳会談に合わせて北朝鮮を訪問した韓国側の訪朝団としてSamsung Electronicsの副会長が同行し、北南融和の動きの中でSamsung Electronicsの工場を訪問する可能性が高いと報じる媒体も見られた。

しかし、実際はバクニン省でもタイグエン省でもなく、ハイフォン市を訪問した。

北朝鮮の代表団はハイフォン市と同市から近いクアンニン省ハロン市をセットで視察しており、ハイフォン市を訪問した背景としてはハロン市もセットで考える必要がありそうだ。

ハロン市は世界自然遺産に登録されているハロン湾に面しており、海岸の観光業が発展した都市となっている。

北朝鮮は江原道元山市の海岸に元山葛麻海岸観光地区の建設を進めている。

元山市を国際的な観光都市に発展させるべく取り組むうえで、海岸の観光業が発展した都市としてハロン市は参考になると判断したのではないだろうか。

ハイフォン市とハロン市は近く、工業と観光業を視察するためハイフォン市とハロン市をセットで訪問するプランを選択したと考えている。

電気通信分野を中心に追究する筆者としては残念であるが、ハイフォン市での視察のメインはVingroupの子会社であるVINFAST Trading and Productionの工場である。

Vingroupはベトナム最大のコングロマリットで自動車や携帯端末など様々な分野に参入して事業の多角化を推進しており、ハイフォン市のディンブー・カットハイ経済区ではVINFAST Trading and Productionを通じて研究拠点や工場が入る自動車製造複合施設を運営している。

VINFAST Trading and Productionはベトナムで最初の完成車メーカーで、VinFastブランドで自動車を展開しており、設立は2017年6月21日と歴史は浅いが、東南アジアで最大の完成車メーカーに成長するという目標を掲げている。

欧州の完成車メーカーの技術を取り入れて、国産ブランドで国際水準の品質の自動車を製造する狙いがあり、北朝鮮の代表団としてはVingroupの成功や事業の多角化に加えて、VINFAST Trading and Productionの手法が工業の発展の参考になると考えた可能性が高い。

実は、自動車製造複合施設の内部に携帯端末の工場も設置されており、Vinsmart research and manufactureが携帯端末の製造を行う。

自動車製造複合施設の視察ではVinsmart research and manufactureの事業も北朝鮮の代表団に紹介された。

Vinsmart research and manufactureは2018年6月12日に設立されており、2018年12月14日には最初の製品としてVsmartブランドで携帯端末を発表した。

携帯端末も自動車も事業の方針としては似ており、Vinsmart research and manufactureはMundo Readerが保有する技術を取り入れて国際水準の品質の携帯端末を国産ブランドで展開する狙いがある。

Vinsmart research and manufactureの紹介はオマケ程度であるが、北朝鮮でも国産ブランドの電子機器の製造を推進しており、Vinsmart research and manufactureの手法は北朝鮮にとって多少なりとも参考にはなるはずで、Vingroupはそれを理解して貴重な時間を割いてまでVinsmart research and manufactureの事業も紹介したに違いない。

観光都市の育成と工業の高度化および国産化、これらを視察するためにハロン市とハイフォン市が訪問先に選ばれ、ハイフォン市では事業内容や事業方針を考慮してVingroupの子会社を選択したのだろう。

豊富な資金力で事業拡大を図るVingroup、ベトナム企業の成功例としてベトナム側も案内したかっただろうし、当然ながら北朝鮮側も参考になると認識したはずであり、北朝鮮側としては将来的に分野を問わずVingroupによる投資も期待しているかもしれない。

なお、Pyongyangブランドの携帯端末を展開する北朝鮮のChecom Technology Joint Venture Company (チェコム技術合営会社)は北朝鮮の国営企業と中国の遼寧省丹東市に本社を置く企業が共同で設立し、朝鮮民主主義人民共和国外国人投資法の合営企業に分類される合弁会社であり、北朝鮮では携帯端末を展開する企業の設立にあたり外国資本を受け入れた実績もある。

参考までにVinsmart research and manufactureはBQブランドを展開するスペインのMundo Readerと業務提携を締結しているほか、Vingroupの子会社であるVinTech Technology DevelopmentはMundo Readerの子会社化も完了した。

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